「資本主義は実体経済から金融経済に移行したとたん、破綻する」
金融
水野和夫著「資本主義の終焉と歴史の危機」
この本を読んだのですが、
著者は国家戦略室にいた方で、
「アベノミクス」反対の立場です。
資本主義の次のシステムを考えるための基礎知識としては良い本と思います。
が、次のシステムができるまでは、資本主義でやっていかなくてはなりません。
資本主義が機能するのは実体経済の間で、金融経済に移行したとたん、その国は破綻すると。
金を貸した先の途上国が次第に大きくなり、実権を握るとあります。
(97ページから98ページにかけて)
それから、バブルについても。
昔は、マネーは「金(キン)」との交換比率が決まっていました。
だから過剰なマネーは発行できなかった。
「成長」しなくてはならないという強迫観念から、
この枠をとりはずし、いくらでもマネーを発行できるようになった。
この影響で、
実体経済とかけ離れたマネー主導の経済となってしまいました。
過剰なマネーが途上国で過剰な設備投資を促し、たくさん設備投資してるから好調なのだろうと、その国の株価が上がる。
が、バブルは膨らみ、はじける。
給料ダウン、失業が始まる。こういった悪循環がずっと続いているのが
金融経済。
アメリカの
サマーズ財務長官は、
金融経済では3年に1回バブルがはじけるとの見解を示しているそうだとか。
つまり、
「運用」という金融経済は、バブルという爆弾をいつも抱えている。
投資が過剰かどうかの判断は、
民間設備投資、住宅投資、公共投資の合計を
固定資本とし、経済成長に必要な固定資本は33%という目安をはじかれてます。(92ページ)
投資(証券会社の運用)が過剰かどうか、この数字より多ければ過剰と判断。これは参考になりました。
すべての国が日本のように豊かになってほしいという人がたくさんいますが、
鉄の生産量から、データからそれは無理と結論を出されています。
資本主義は「成長しなくてはならない」というシステム。
だから、
おかしなことがおこり、バブルがはじけて大損する人が出てくるのです。
自分の家をみてください。
テレビ、洗濯機、クーラー、パソコン、ケータイ。
必要なものはひととおりあります。
技術革新、デザインのよいもの、便利といった差別化しないと売れる時代ではないのですよ。
もう「成長」前提の資本主義は、ゼロから考え直す時期にきているのでは。


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