ちょっと用があって「サトナカ朝熊工房」のカットイラストを描いた。印刷物の文章を少しだけドキュメンタリーな味付けにするための機能装置としてのカットなので描き込まずにこんな程度の絵でいいのである。
以下、その文章
伊勢に路面電車が走っていたころの変電所跡が朝熊町にありますが、そこを改築して工房とし、これらサトナカはすべてそこで手作りされています。「お伊勢参らば朝熊をかけよ 朝熊かけねば片参り」という歌詞が伊勢音頭にもあるように、朝熊山は伊勢神宮の鬼門を守る山であり、かつては東洋一と言われたケーブルカーも存在していました。
地方都市伊勢、そのまた郊外の朝熊町にもお伊勢詣でとセットで朝熊山信仰や観光で賑わった時が存在したのだ。時代の中で役割を終えたものは廃棄撤退という宿命が待っている。しかし僕たち生き物と違い例えばこのかつて変電所だった建造物や、ケーブルカー関連の駅舎やトンネル等は朽ちつつも未だに成仏出来ずにそこにある。僕はその手の建物や痕跡が大好きだ、新たに建てられた施設等にいいものが少ないのが起因するが、さまざまな廃墟や朽ちゆくモルタルの橋などの産業遺産に多いにこころ打たれるのだ。
この「サトナカ朝熊工房」はサトナカというプロダクトを支える心臓部である。河崎生まれのサトナカが朝熊町に結び、朝熊町のランドマークとして育って行くことを願う。地方都市のそのまた細部である集落にだってしっかりと歴史や時間が宿っている。それは地方都市の細部にだってしっかりと血が通ってるのだぞということ、僕の出来ることはそれをデザインという技術でもってアウトプットしていくことだ。何度も言うが、悔しいでしょ日本は東京だなんてバイアスで地方都市が語られるの。
かつての変電所、この右すぐが現在の近鉄・朝熊駅で周りには家が結構建ってます。変電所だった建物は構造がしっかりとしていて、ほぼこの写真のまんまあります。一度、朝熊町散策に工房見学の企画を考えないといけませんね。僕自身は通常あまり用がないので河崎で仕事してます。11月くらいからのお歳暮準備の時はスタッフ総出で、日に数時間ほど仕事をやりに電車で通い、結構出張仕事を楽しんでます。
かつては外宮、内宮、二見、朝熊と路面電車が行き交い、朝熊からはケーブルカーで山頂へ。何ともロマンティックですな、共有できるモノはみんなで共有して同じ方向の未来を想像してた時代なんだから。でもその後大戦がありケーブルも廃止、戦後復興の熱っぽい時代を経て現在に。まさに正念場です、都会に任しておけませんから地方からどんどんいろいろやっちゃいましょう!
Have a nice weekend! では皆さん、いい週末をお過ごしあれ。

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