安乗神社 波乗守
今年もいろいろなモノをデザインしました。中でもやっと出来上がったかと、感慨も深いのがこちらのお守りです。
始まりは、二年程前友人のツテである女性(Mさん)がボクを訪ねて来られました。お札のデザインにチカラを貸してもらえないですか、ということでした。いろいろとお話しさせてもらい、ボクがお力になれるのならとお仕事がスタート。このお札屋さんは決して大きな会社でなく、昔ながらの家族数名にて稼働。企画に営業はその女性が独りで仕切っていました。まあ業界風に言えば、社内プロデューサーですね。
ボクは常々大きな会社組織や有名ブランドな方々とのお仕事に縁が薄く、今までにもそういうお話しは無かったことも無いのですが、途中で立ち消えになるのが常でした。東京とかじゃないです、伊勢内でのことです。何なんでしょうね、相性とでも言うのでしょうか?ボクのデザインの出る幕が無いんですよ、そういう既に出来上がった有名ブランドの中でのデザインワークって。弾けたり、驚かせたり、楽しませたり、笑かしたり、気障ってみたりが出来ないのです。歴史や伝統や正統がどかっとボクの前に立ちはだかる感じで、いいものを提案してもそれがその環境の中じゃ個性を発揮出来ない、お呼びじゃないのでしょう。
全くそのとおりだと思うし、もう腹は括っています。人間にはその人の出番や役回りと言うものがありますからね。ボクはと言えば、弱小球団を受け持った監督で、変な作戦や戦術(おもしろいデザインやその機能)を駆使して、強豪チーム(老舗ブランド)の隙をつき一泡吹かす役回りなんだと。きっと長続きはしないでしょうね、奇襲戦法みたいなもんですから、強豪が最後には勝つのかな?悔しいな・・・・・・
この安乗神社さんの波乗守、もちろんデザインはこの安乗という町の歴史に風土にフォーカスし、それらを神話とミックスすることで出来上がりました。鮫を意匠化したり、サーファーさんなどのミスマッチもボクはオモシロイと思って提案しました。しかしこのお守りがカタチになって神社さんに納められた手柄は、ボクのクリエイティブを信頼しこのデザインを認めてくれたMさんのおかげなのです。彼女が神社とボクの架け橋なのです、いやもっと引いて大きく捉えるならば「志摩の安乗という小さな集落の歴史や風土を、このこのお守りというカタチを通して皆さんに紡いだ」仕事をMさんがなさったということです。ボクはパートナーとしてそのお手伝いをさせて頂きました。
どうぞこの美しき安乗という漁師町をお訪ねください。日本の無くなりつつある地方都市に血が通うように人々が訪れることの役に立てればいいねとMさんとも話してます。機会があれば、ぜひ神社にお参りください、宜しければお守りもどうぞよろしくお願い申し上げます。

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