2006/12/24

救急車を呼んだクリスマスイブ  Zovkoおばちゃん

ゾフコおばちゃんの異変に気付いたのは昼の3時、ごちそうの準備がもうすぐ終わる頃だった。メディチおばちゃんと3人で正午からサルマを作り、ポテト、豚に七面鳥、手作りのパンとチーズケーキを次々にオーブンで焼き、仕上がるのを待っていた。

一足先に3人でシュナップス(アルコールのきつい蒸留酒)を飲み、話をしていた。でも私とメディチおばちゃんで話しかけてもゾフコおばちゃんの反応があまりない。目の前にいるのに聞こえてないみたい。顔が赤い。お酒のせい?
「ねぇ、ほら今『シシィ(エリザベートの映画)』やってるよ、ゾフコおばちゃん」
「・・・・・・」
テレビ画面は見てるけど何の反応もない。返事もしない。 ついさっきまでいつもどおり大きな声でしゃべって笑ってたのに… キッチンに行ってメディチおばちゃんにそのことを言う。彼女もゾフコさんの異変に気付いていた。 私が朝10時半に一緒に2人で遅い朝食をとった時、ゾフコおばちゃんは血糖値を計って確かにインスリン注射をしていた。このとき血糖値は113で問題は無し。 

部屋に行くとおばちゃんの状態はさらに悪化していた。話しかけても答えない上私の存在すらわかっていない???
「おばちゃん! 今すぐに血糖値計って!」 急いでいつも使っている測定器を渡す。
でもおばちゃんはいつも自動的にやっていることをしようとしない。むしろ今初めてそういう機械を見たかのように、扱い方が全く分からない様子。 メディチおばちゃんが砂糖飴を急いでゾフコおばちゃんに食べさせようとする。けど、今度はそれがまた食べ物かどうかも分からずしばらく眺めているおばちゃん。
「食べるんだよ!今すぐお願いだから食べて!!!」 メディチおばちゃんは今にも泣きそうだった。 やっと飴を食べてくれたけど状態は変わらない。私たちが必死に話しかけても言葉が分からないみたいにゾフコおばちゃんは座って空中を見つめるだけ。

メディチおばちゃがインスリンの注射を持ち出す。でも血糖値が低いか高いか分からない状況ではインスリンを打つことも砂糖をさらにあげていいのかもわからない。本人が決めるべき決断を私たちがするのはもっと危険だと思った。それこそ間違った判断でさらに状況が悪化するかもしれない… 私はいつも隣にはいるけど機械の扱い方や、注射の打ち方を知らないし… なんで今までこういう状況に万が一なったときの処置をおばちゃんから聞いておかなかったんだろう!

ゾフコおばちゃんが死んじゃう!!!

本気でそう思った。おばちゃんが死んじゃうよ…

救急車を呼ぶしかない!それ以外考えられなかった。受話器を持つ手が震えた。冷静に話すとか無理だった。メディチおばちゃんはもう半狂乱という感じだったし、私もゾフコおばちゃんが今ほぼ意識不明の状態であることにパニックだったから。とにかく今すぐ来てください!助けて!って言ったと思う。

10分後に救急隊員がかけつけるまでもう本当に神に祈るしかなかった。ゾフコおばちゃんを抱きしめて(お願いだから死なないで!)って… 救急隊員が血糖値を測定。39。大至急点滴。その間隊員に状況説明。昨日の様子、今朝の血糖値の数値、食べたものを分かる限り話す。 飴を食べたのと点滴のおかげでおばちゃんは徐々に意識を取り戻して受け答えができるようになってきた。さらに半時間後、すっかり彼女は回復。しかしそれまでの数時間のことを全く覚えていなかった。そう記憶喪失。

間違った自己判断をすること。それが自らインスリンを投与したり糖を取り入れたりして血糖値をコントロールしなければならない糖尿病患者の危惧すべき点だと救急隊員が説明してくれた。食事をする前にお酒を飲んだこともやはり関係があるらしい。お酒は患者の血糖値を下げる働きをするため。 とにかく入院などする必要はないが、クリスマス明けにすぐかかりつけの医者に行くようにゾフコおばちゃんは言われた。

イブの日にかけつけてくれた5人の救急隊員に本当に、心から感謝している。彼らがいなかったら…  今晩は心配だからとメディチおばちゃんが隣の部屋でゾフコおばちゃんと一緒に寝ている。明日また3人でクリスマスを迎え、お祝いできること。それが今は奇跡のように思える。
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