昼にはワッフルメーカーでたい焼きを作ってピースサインしていた琳くんが夜中に起きてきて「あたま、いたいよ」と泣いて嘔吐した。
3/22(日)
寝る前から頭が痛いと言っていて、今みんな風邪ひいてるからうつっちゃったかな、学校あと2日で皆勤賞だし、早く寝ようね、て言って寝かせて、夜中三時のことだった。
痛がり方が変な感じで、風邪じゃないかもしれないって思って、最近どこかにぶつけたり転んだりした?って訊いても「心当たりない」と。
痛さに過敏になりすぎている可能性あり、一時的な気分の問題かもしれないと思いながら「よこになると痛い、寝れない」と泣いて心配なので夜間緊急病院に連れて行くことに。
病院へ向かう車内で、琳くんは最初「うーん、うーん」唸ってたけど病院に着く頃には眠っていた。待合室でも寝れるくらいに頭痛は治まって、というか眠気が勝つくらいのレベルにはなっていて、やっぱりかよ、と思ったけれど
自分でも意外なほど腹は立たず、許せちゃった。そして、許せちゃったことに、安心した。
3/23(月)
すっかりケロっと元気になった琳くんは、ささいなことで毎度ながら玲ちゃんを怒らせていた。
なにをしたかは問題ではなく怒られているポイントはいつでも同じで、自分を賢いと思っていて大人を馬鹿にしているから言うことをきかない。怒られた内容も真剣に聞いてないから同じことで毎回、怒られる。
自分の愚かさにも気付けないのは本当に愚かだけれど、親や学校の先生に何度言われても自分に自信を保っていられるのは長所っていうか才能かもしれなくはある。
ぼくも玲ちゃんもとても怒るけれど、それは選んでいることであって「怒らない育て方」も選べるはずだと思う。どちらが正しいのか、ぼくたちは間違っているかもしれなく、のびのび育てる両親のもとだったら天才なのかもな琳くんにとって常識を押し付けられるのは不運かもしれない。けれど、それは選んでいることなのね。
ぼくも玲ちゃんも、琳くんのことが好きで、それは選べないことなんだ。
親が子を愛するのは当たり前、というのは嘘だから世の中には愛し合えない親子もたくさん居て、それでも一緒に暮らさなきゃならなかったり、離れるほかなかったりしているから、ぼくや玲ちゃんが琳くんを好きな両親であるのは、ラッキーなんだよ。
琳くんにとってもだし、ぼくや玲ちゃんもラッキーなんだ。これは選べないことだから。
て、いう話を
ぼくは琳くんに昔したことがあって、まだ6歳くらいだった琳くんは静かに泣いていた。怒られて泣くのじゃなく、落ち着いて大事な話をしてみたら、よく聞いてくれて泣いていた。この子には心があるから大丈夫なんだろうなと思った。
普段は瑶ちゃんや珀くんや友達の気持ちを考えられない自分勝手な言動ばかりで大人たちから心配されている琳くんだけれど、本当は優しい心も持っているから大丈夫なんだって、パパは知っている。
琳くんは、パパや玲ちゃんを越えていかなければならない。
それが未来ってものだよ。
DNAは壊れて劣化していくし、人類も太陽も滅びる運命に決まってる。
だけど、そんなの覆していくんだよ。
だって君は、琳くんなのだからね。

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