祝祭だった
エロリストりかさんのワンマンショー
のような形をとった、それは
死せる者と生ける者たちのための
きわめて享楽的な儀式だった
会場に入るなり、りかさんの亡き夫の遺影が出迎える。
りかさんは後家イメージの和装風スケスケ衣装で来場者に夫を紹介。
8年ぶりのステージ復帰を見届けようと埼玉からもお客様が。
イベントスタートから、司会というのか全開りかさんタイム。
全体で3時間のうち2時間くらいは、りかさんタイムな勢い。
印象的な場面、行動、発言は多すぎて忘れてしまうけれど
前半は、煩悩コールの大合唱や仏教的に正しい一休さんの唄
名言「ジャパンはED(勃起不全)ジャパンはDIE」など
テンションMAXで爆笑をかっさらいつつ、僕やアスマや
自縛ポエトリー/ういちゃんの朗読にも絡んでハプニング。
そして後半、syadooooギターのアンビエントな即興コーナー
りかさんのモードが変わって、旦那さんの死に際を語りだす
安定剤を大量に飲んで亡くなったと。ずっと薬漬けだったと。
出会った日にSEXをして、けれど2人はホテルの滞在時間が
過ぎても離れたくなかった。彼は自分の部屋の鍵をくれた。
りかさん自身も国から精神障害者2級の認定を受けていて、
「こんな私でいいの?」と聞いても君が居てくれるだけでいいと
それが8年間の結婚生活の始まりだった、と。
りかさんは叫んだ
薬を飲まないと適合していけない社会ってなんなんだよ
エロ&ビンボー開催を決めてから断薬している
狂っているなら狂っているで何が悪いんだよ
裸のままでいることの何がいけないんだよ
そして、お客さんも参加してのストリップショー
最終的に昭和天皇でオナニーしようってことで解決。
全人愛を掲げる、りかさんだけれど
その前提には揺るがず永遠に壊れない夫婦愛があり
それはたとえば別な人格になっている時のりかさんも
旦那さんは全て受け入れてくれて、また逆に旦那さんが
知らない男の人と性的関係を持った時にも
りかさんは怒ることなく旦那をいとおしく想った、と
常人には理解できない感覚のようでありながら
性別、人種、年齢を問わず、常識や倫理に囚われない
自由で自然な魂の解放なのだと考えれば
なるほど
って、なる?
ひとによるでしょうね。
でも常に、りかさんには根拠というか理屈もあって
現代の常識やモラルはプリミティブではないのだろう
とても知的でユーモアがあって尊敬できるひとだ。
去年の夏に旦那さんが亡くなってから、悲しみの淵に
沈んでいたという、そんなりかさんが生気を取り戻し
自主企画で、これでもかとばかりに輝いていた。
中原中也の言葉を引いて
愛するものが死んだ時には、自殺しなきゃあなりません
と、りかさんは詠ったが
生きてこんな夜があって、よかった。
最近、終わりを想うことが続いた後に
終わらない意思を強く感じることができて、よかった。
四度の心停止から蘇生したひとが
お客さんとして、やってきていて
りかさんは泣きながら何度も死ぬなよ死ぬなよ死ぬなよ
と繰り返した。ともだちだからな。私は悲しむよ、と。

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