ぼくらも、もうすぐ30歳だってさ
ちょっとびっくりするよね
いつのまにやら人生も中盤 なのかな
生き物として物心ついたのが13歳からで
表現者として物心ついたのが28歳からで
やっと にんげん に、なりつつあるのに
もう折り返し地点ですか? まだか。
どこから数えるのかの問題で
人間になってからが始まりなら、まだ1歳だから
人生まだ、この50倍くらいは あるってことだね。
なんにしろ、僕や君が神様だかなんだか
おおいなるものから頂いた可能性の中で遊ぶには
人生ってのは、じゅうにぶんに短い。
うれしいこと、が、またあってさ
そう、その話をしたかったの。 としき君のアルバムをね、
聴いて、僕のスキットを気に入ってくれたっていう
岡崎のシンガーの人から連絡もらってね、今度その人の
イベントにも呼んでもらえるかもなんだけれど、その
イベントに出るとか、CDが売れるとか、そういう嬉しさは
もちろんだけれど、それよりとにかくまた新たに僕のやった事をね
気に入ったとか認めてくれたっていう人が世界のどこかに、
やっぱりいるっていうことは、ひたすらにうれしいんだな。
ずっと自分の為に表現をしてきて、人からの評価なんて
気にしてこなかったのに、自分が人間に近付いたとたんに
人に褒められることが嬉しくて俗っぽいっていうか、きっと
別に最初からそうなんだろうけど。これも寂しがりということかな。
ほんとうのほんとうにはね。誰からも評価されなくても、自分が
完全に納得、満足、できていれば、表現者はそれでよいはずと考えていて
「人に褒められなければ作品の意味がない」ていう立場と、本来の僕は違う
誰にも知られることなく死んでいった天才アーティストの、その価値を
僕は疑わないのだけれど。 ただ、さみしい。 ただ、さみしいな。
としき君のCDは、たぶん1500枚くらいは世の中に出回ってると思うけど
その中でまず1人、会ったこともない誰かに届いたことは、ただ、うれしい
それがもし2人、3人と居るなら、増えることがうれしいのではなくて
その一人々々が、うれしい。 ほんとうに、うれしいなあ。
音楽や文学や映画に、救われた!と思うような瞬間があるとして
それは勘違いにちがいないのだけれど、今回のような場面で僕は
自分の作品に救われたような気分になる。厳密に言えば、作品じゃなくて
作品を気に入ってくれたというひとに出会うことで救われる。ていう。
「表現は救いにならない。表現から派生して、誰かに会えたり話ができたり
そういうことは救いになるのかな、とは思います。」
というようなことを、桜井晴也は言っていた。こないだのハポンでは
青流れ星ちゃんが「言葉は人を救わない」って言った。
それと、これと、また別な感覚かもしれないけどさ
青流れ星ちゃんは「レモンさんの詩を思い出してがんばれた時があります」
とも言った。サヲリちゃんも「元気になれる」って、言ってくれた事がある
ミトミンが、何年も前のCDを毎日のように聴いていてくれてたり。
村田活彦さんが、だいぶ前だけどブログで、僕のCDを聴いているって
書いてたのも嬉しかった。うれしかった。だって、これらの人たちは
顔見知りの人達だけれど、たとえ、どんなに友達だからって、友達が作った
CDを何度も熱心に聴くかというと、そうでもないことが多いだろう。
今回、連絡をくれたのは会ったこともないひとだし、それもうれしい。
なんでうれしいのか。ほめられたいのか。さみしいのか。なんなの? でも
うれしいのだから、やって良かったなあ。って思うし、誘ってくれたトシキ君
ありがとう。 今回のも、昔のも、自分で聞き返せば納得いかないし、満足は
していないのに、それでも嬉しいことが立ち昇るのだから、やってよかった。
コトナの音源だって、早く実現したいよ。それを持って、あちこち、まだ見ぬ
人間たちに会いに行きたいよ。アーティストが、やってることって、そういう
ことなんじゃないですか? ぼく気付いたんですけれど、ぼくの夢って
なにがしたいのか分からずに、ふらふらやってきたくせに、いつのまにやら
叶っていたんです。こういうことがやりたかったんです、きっと。だから
ぼく、夢が叶ってるんです。でもまだ夢には続きがあるんですね。無限に。
そうそう、最近会ってないから、言うタイミングなかったんだけれど
れいちゃんが妊娠しているの。3人目の子が10月に産まれるの。
こどもは、すばらしいの。そこには、なんでもあるの。
なんどだっていうけど、ぼくはラッキーなの。不幸のふりをする愚者なの。
あの子の恋は、終わってしまったかもわからないの。
あの子はかわいいし、あの子の恋人は素敵な人だったの。
一度しか会えなかったけど、一度だけ会えたから分かるの。
あの子も、恋人も、お互いのことを想っていた時期があったの。
それは素敵だったの。 きっと2人は恋をしたんだから。
ぼくは、無力だったの。あたりまえだけれど。
しあわせにしかなれないおろかものだったの。 ねぇ。

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