10月25日付け朝日新聞朝刊(執筆:赤田康和氏)によりますと、「音楽著作権巨像に挑む」として、今月から著作権管理団体のイーランセンスがテレビ・ラジオで楽曲使用がされた際に発生する放送使用料を約70曲に関してJASRACとは別個に、あるいは従来JASRACが徴収していたものをJASRACに代わって徴収し、権利者(作詞者・作曲者)に分配することになりました。
文章にすると何のこっちゃ?という理解しづらい話になります。
見出しでいう”巨像”がJASRACだと仮定すると、巨像が昨年2005年に徴収した放送使用料は259億円。JASRACはこの259億円から29億円を委託手数料として差し引いた上で、権利者(作詞者・作曲者側)に230億円分配しています。
”挑戦者”の比喩がイーライセンスとすると、2005年著作権料徴収実績がJASRACの1,136億円に対し2.9億円ですから”巨象”の0.25%くらいの著作権徴収団体です。
昨今の携帯電話市場の話からするとスケールとしては一見したところ小さな話となります。
この記事を読んでトリ肌が立つくらいに喜んでいるのはイーライセンスでしょう。事業のための最高位のパブリシティですから。
次にうれしいのはイーライセンスに楽曲を管理委託している楽曲70曲の権利者です。今までJASRACに支払っていた手数料より安い手数料で済み、より多い放送使用料が分配金として受け取れることになります。ただ70曲が全放送使用料(2005年でいう259億円)の何%にあたり、手数料の差額にあたる金額がいくらかの金額になるか?−−−権利者本人にとっては嬉しいでしょう。立場、立場でこうした制度の重要度が変わって見えてきます。
より大きな視野で見るならば、知的所有権の尊重と保護がこれからの日本の産業、文化の発展になくてはならないわけですから、こうした”象とアリ”を説明するような記事こそ今の時代必要なのかもしれません。

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