ご存知のように整骨院や接骨院で骨折、脱臼、打撲及び捻挫の施術を受けた場合に保険の対象になります。よって、単なる肩こり、筋肉疲労などに対する施術は保険の対象になりません。このような症状で施術を受けた場合は、全額自己負担になります。療養費は、本来患者が費用の全額を支払った後、自ら保険者へ請求をおこない支給を受ける「償還払い」が原則ですが、柔道整復については、例外的な取扱いとして、患者が自己負担分を柔道整復師に支払い、柔道整復師が患者に代わって残りの費用を保険者に請求する「受領委任」という方法が認められています。
本来、肩こりや腰痛など捻挫ではないものを亜急性捻挫として、毎年、約4000億円の療養費を請求しているのが接骨院の実像です。30年前なら、医師会の影に隠れて目立たず、政治家に寄り添い、一般にはよくわからない職種が柔道整復師でした。当時、柔道整復師の学校は、全国で14校しかなく、柔整入学するには、中堅大学を入るよりも難しかったです。裏口入学の話もよく聞きました。労働基準法も曖昧で、儲かっている接骨院は、夜間の学生を多数、住み込みで丁稚奉公のようにして、安く使っていました。整形外科や理学療法士も少ないので、接骨院の場所と経営手腕さえ良ければ、どこでも多くの患者が来ました。申請書類の傷病部位も、いい加減で、3部位、4部位、長期間保険請求があたりまえの時代でした。まさに接骨院バブルでした。
しかし、そのバブルは、柔道整復学校は100校に増えた20年前頃に崩壊しました。療養費の請求は年々厳しくなり、現在、大多数の接骨院は、1日10〜20人程度しか患者が来ません。これで家賃や光熱費をどのように支払っているのか不思議になることがあります。柔整業界は、この30年間、既得権ばかりを守ることに執着し、療養費の改革らしいことはほとんどやっていません。委任状など保険請求の方法も、傷病名も、明らかに法律に違反しているが、業界は、わざと曖昧にすることで、乗り越えられると、正当化してきました。そして、そのつけが今、若者に回ってきています。まるでどこかの国のようです。
厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、マッサージ業他の施術所(あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅうを行う施術所と柔道整復の施術所などを含む)は、2006年に10万8,139か所だったが、2016年は13万6,460か所に増加。この10年間で2万8,321か所(26.1%増)増えました。就業状況では、就業あん摩マッサージ指圧師が2006年の10万1,038人から、2016年は11万6,280人(15.0%増)に増加。このほか、就業はり師が42.5%増(8万1,361→11万6,007人)、就業きゅう師が42.6%増(7万9,932→11万4,048人)、就業柔道整復師が76.0%増(3万8,693→6万8,120人)と、いずれも大幅に増えています。 それに伴い、2018年の「マッサージ業、接骨院等」の倒産は過去10年で最多を記録しました(東京商工リサーチ)。平成27年、労働省ホームページに『柔道整復、はり・きゆう、マッサージに係る療養費の推移(推計)』では、国民医療費は、平成26年度は408,071億円で対前年度伸び率は1.9%となりました。一方で柔道整復療養費は3,825億円となり、対前年度伸び率はマイナス0.8%で3年連続の減少となりました。過去10年で、接骨院の数が2倍になったのに対し、柔整療養費は増えていません。つまり、接骨院の収入は半分になったということです。明らかなのは、あと10年もすれば、更には半分になり、仕事に溢れた柔道整復師が街中には触れるということです。
以前に柔道整復整骨医学会で柔道整復師改革を強く唱えた医師がいました。たしか柔道整復整骨医学会を通じて、柔道整復師を階層化するという案でした。しかし、柔整業界は何も動かず、なにもしませんでした。対象的なのは日本理学療法士協会です。この10年で理学療法士の国会議員が複数いて、会員は12万人。OTの団体も含めると20万人ぐらいになります。様々な改革を行って勢いがあります。一方、日本柔道整復師会の会員は1.5万人しかおらず、力の差は歴然です。近い将来、「骨関節系の施術は理学療法士で、柔道整復師はいらない」と言う時代が来るでしょう。そのときが来る前に柔道整復師業界は大きな改革をしなければ生き残れないでしょう。
「地域包括ケア」という概念があります。住み慣れた地域で、いつまでも自分らしい生活を送れるように、地域の様々な職種が連携をして、困っている方を支えていこうということです。そのためには、多職種の連携が重要であり、医師、看護師、ケアマネ、介護職員、PT、OTなどが皆で協力します。しかし、その中に柔道整復師の職種は入っていません。しかし、「地域包括ケア」は接骨院が変われる絶好のチャンスなのです。接骨院は全国に約5万ヶ所あります。5万ヶ所の接骨院で総合事業の通所型サービスを行った場合、100万人の高齢者が利用できる可能性があります。対象者は160万人の要支援の高齢者です。次回の介護保険改正で、要介護2まで総合事業になると言われています。要介護2までだと約300万人が対象になります。新たに生まれるこの約300万人の事業対象者を柔道整復師がいかに市場として取り入れられるかが重要な課題であります。方法として接骨院を活用した緩和型通所サービスを全国で開設するのです。いままで施術という療養費で収入を得てきましたが、半分を介護保険の報酬(事業報酬)で賄うようにします。この比率を少しずつ上げて、そのうち療養費に頼らなくても収入を得るように変革します。具体的には、例えば、午後1時30分から午後3時30分までの時間帯を通所サービスで活用します。送迎も入れて3時間ぐらいを通所サービスです。第一号通所事業の指定を受ければ、一人あたり約4000円の収入になります(練馬区の例)。利用者が1日、5人でも2万円です。月、25日でしたら約50万円の収入増です。療養費の収入に50万円がプラスされれば、多くの接骨院は救われ、同時に患者も喜んでくれます。
この事業の優れたところは次になります。
@既存の接骨院を使うので、あらたに設備投資がいらない。
Aデイサービスのように生活相談員が必要なく、院長と二人でできる。
B利用者は、いつも接骨院に来る高齢患者(事業対象者)でまかなえる。
Cサービス担当者会議などで多職種連携の仲間に入る事ができる。
Dサービス内容が機能訓練であるので、新しいことを勉強しなくてもいい。
ただし、自治体に緩和型通所サービスに理解がないと設立できません。自治体によっては、いまだ通所サービスの指定基準が厳しく接骨院に併設することが難しいところもあります。
そこでNPO介護予防研究会では次のサポートを行います。
@NPO介護予防研究会に所属するため新たに法人を設立する費用がいりません。
A毎年の法人税均等割 7万円がいりません。
B指定申請の手続きを10万円でサポートします。
C運営、保険請求のサポートもします。
詳しいことは、NPO介護予防研究会までにご連絡ください。

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