接骨院を一般介護予防の「通いの場」にする
要支援・要介護と認定される前の高齢者も幅広く対象とする、介護保険の「一般介護予防事業」について、厚生労働省はより効果的に展開していくために制度の見直しに乗り出しました。体操などの“通いの場”を改良することが大きな柱です。最重要課題と位置付ける健康寿命の延伸に向けて、参加者の増加や機能の強化につながる具体策を検討するとのこと。 社会保障審議会の有識者会議では、理学療法士など専門職にどう関与してもらうか、自治体向け、あるいは個人向けのインセンティブをどう設定するかなどが論点となりました。高齢者の関心を引きつける魅力的なコンテンツが生まれると睨み、スポーツジムやカフェなど多様な民間事業者にコミットしてもらう仕掛けも設けたい考えです。夏までに施策のアウトラインを固め、秋以降に細部を詰めていく計画とのこと。年末までに取りまとめを行い、社会保障審議会・介護保険部会へ報告されます。「通いの場」は2021年度に控える次期介護保険改正の目玉の1つになるとみられます。
介護保険の「一般介護予防事業」は、市町村がそれぞれ運営している「地域支援事業」の一環です。65歳以上の全ての住民を対象とし、ニーズの把握や普及啓発、地域作りなどが実践されている。体操などの“通いの場”はメインメニューの1つです。厚労省によると、2017年度の時点で“通いの場”を開催している市町村は全体の86.5%に至っています。その数は全国で9万ヵ所にのぼっており、以前と比べてだいぶ普及してきたとのこと。ただし、高齢者の参加率は4.9%と低い水準のまま。これを引き上げていくこと、なるべく頻度を高めてもらうことが重要な課題となる。厚労省は「自治体間のバラつきが大きい」との問題意識も示す。交付金によるインセンティブの強化などで取り組みの底上げを図る構えです。医師や保健師、栄養士、リハ職などにもっと力を発揮してもらい、サービスの専門性を向上させることも重要な課題となります。今月15日には国会で関連法が成立。後期高齢者医療制度の事業と連動させたり、保険者間で情報を円滑に共有したりする環境も整っています。(一部介護ニュースサイト引用)
厚労省は、全国の「通いの場」9万ヵ所に補助金などで専門職の関与による高機能化を図っていくという計画です。しかし9万ヵ所の「通いの場」の半数以上が月2〜4回程度の体操教室、2割が食事会などで、週1回以上の活動はわずか3割にとどまり、介護予防の拠点というより、週1回程度の地域住民のコミュニケーション作りの場といえます。参加人数170万人、高齢者人口の4.9%が参加とありますが、実際の参加者数はもっと少ないでしょう。65歳以上の方が月1〜2回、体操やお食事会をすることは、地域コミュニケーション作りの場として良いことです。ただ、このような取り組みは、介護保険がスタートする前から自治体や社会福祉協議会で行っています。通える高齢者は、日々、忙しく病院通いなどをしています。本来、介護予防が必要な、外出する意欲や心身機能が低下している閉じこもり高齢者です。厚労省は、要支援者など軽度者を介護保険から外し、総合事業や一般介護予防事業に置き換えたいと考えています。総合事業の訪問型サービスや通所型サービスの単価(介護報酬)は、年々低くなっており、一部の総合事業者の撤退が起こっています。問題は、要支援者を総合事業という形で一体化させることです。要支援者の半数以上は、捕まらずに100メートルを歩けません。全盲や車椅子、認知症の方も多いです。私は介護認定審査会委員を約20年関わっていますが、要支援者と要介護者の線引きが曖昧で、自治体ごと、合議体ごとに違います。認定審査の仕組みを幾度も変えましたが、要支援2と要介護1の曖昧さは、一向に改善されません。そもそも、介護予防とは生活機能が低下している高齢者に適切な介護予防サービスを期間定めて集中して行うことです。安い報酬で専門職が確実に関与できる「通いの場」は、接骨院やスポーツジムなどが適しています。社会保障審議会で議論される専門職は理学療法士や看護師であり、柔道整復師や鍼灸師の職種がどこも入っていません。新しい制度の中に柔道整復師が入るには、社会保障審議会の有識者会議のメンバーに日本柔道整復師会や鍼灸師会の理事が参加するか、いまの有識者会議のメンバーに依頼して討議資料を提出するしかありあせん。社会保障審議会で議論されることが重要であり、結果は今年末に出られますので、公益社団の役員は早急に対応する必要があります。
接骨院を「通いの場」にする運動を柔整業界あげて行うべきです。治療院は、「通いの場」として介護予防の拠点になることができます。また、この「通いの場」は、地域共生サービスも可能になります。平成30年度より、共生型サービスが創設されました。高齢者も障害者も同じ事業所でサービスを受けることができるようになりました。共生型には、日中活動サービスとて、生活介護、自立訓練(機能訓練、生活訓練)、放課後等デイサービスなどがあります。私が経営している「くるみデイサービス」も7月より共生型デイサービスの生活介護を行う予定です。高齢者のデイサービスは、全国に4万ヵ所以上あり、すでに飽和状態です。高齢者と障害者や児童が一緒にデイサービスで過ごすスタイルは「富山型」として、昔から有名でした。30年度より、国基準として(基準該当でなく)法制化されたということです。北陸地方では富山県を中心に活発で、共生型デイサービスはたくさんあります。ところが東京では共生型デイサービスは数か所しかなく、指定申請自体難しいです。定員10名のデイサービスでも障害者の生活介護や放課後等デイサービスの共生型として行えます。特に障害福祉サービスの自立訓練の機能訓練は、柔道整復師の技量が発揮できるサービスであると考えます。
整骨院のスペースを活用して、「通いの場」や「共生型デイサービス」の指定をサポートします。詳しくは、NPO介護予防研究会にご相談ください。

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