これからの介護予防はフレイル対策(運動、口腔、栄養等)や生活習慣病などの疾病予防・重症化予防を一体的に実施する仕組みになります。2020年に国が目指しているのは、医療と介護予防が一緒になって「通いの場」に専門職によるフレイル予防やリハビリの機能を持たす高機能化です。ちなみにフレイルとは、加齢とともに運動機能や認知機能が低下してきた状態をいいます。厚労省は、「通いの場」に健康寿命の延伸につながる効果の高い事業を展開し、今後の給付費の伸びを抑えていくことが狙っています。 全国に7万6492ヵ所ある「通いの場」をうまく活用して、参加者同士のコミュニケーションや関係づくり、体操・運動といった既存の取り組みにとどまらず、専門家による疾病予防や口腔管理、フレイル対策などのサービスも併せて行っていきます。保健師や栄養士、リハ職などに活躍してもらう構想を描いています。
現在、9割以上の開業柔道整復師は療養費に頼って収入を得ています。しかし接骨院は増えているのに、年間療養費は反対に減り続けています。一方でリハビリ専門職は、すごい勢いで増え続けます。このままでは介護予防の分野はリハビリ専門職に席巻されるでしょう。でも、まだ間に合います。全国の接骨院に「第一号通所サービス」を併設するのです。要支援の高齢者は全国どこの接骨院に行っても介護予防のサービスを利用できるシステムを作るのです。接骨院の収入の3分の2を療養費でなく、介護保険の基本サービス費から得るように作り上げないと近い将来、柔道整復師は生き残れません。
これらは鍼灸にも当てはまります。「デイサービスで鍼灸施術はできない」との厚労省の見解ですが、札幌市などは堂々と「鍼灸師がデイサービスで鍼灸施術はできる」とホームページ上に明記しています。私の経験上、デイサービスであるが、保健所に鍼灸施術所として許可を得れば、デイで施術しても違反にはなりません(デイ利用中に鍼灸施術料は取れない)。デイサービス開業はハードルが高いのですが、治療院併設「第一号通所サービス」は簡単に作れます。ただし、「第一号通所サービス」は機能訓練指導員による運動器機能向上サービスがメインになります。つまり、鍼灸師の場合、実務経験がないので機能訓練指導員として認められず「第一号通所サービス」を開業できないのです。平成30年度の改正で鍼灸師は、機能訓練指導員になれました。今度は実務経験という大きな壁に突き当たりました。そこで、当会は、この壁も乗り越えさせるような大きなプロジェクトを行うことにしました。それは私たち特定非営利活動法人介護予防研究会の使命です。

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