H-selmer mk-VIアルトは普段着のようにいつも使ってきた。キーアクションは最高によくて機械的にはまだまだ快調なのだが、抵抗感が減ってなりきってしまった感じだ。おそらくしみじみソロを吹くなら良い味わいなんだろうが、シビアな稽古やアンサンブルにはちょっと音程が辛くなってきた。
何しろ1954年の最初期mk-VIで、私の所有になって20年ぐらいになる。私はこの楽器からjazz saxを教わったと言っても良い。大変恩義のある楽器だが、そろそろ酷使はできない。これはコレクターズ・アイテムだがプレーヤーズ・アイテムではもうないようだ。感謝をこめて、余生をかわいがってくれる人に託送と思う。
そこでアクションが近い感じの新人を探すことにした。ほとんど出費なしで取り替えられればといくつかの楽器を試奏してみた印象を記す。ちなみに下取りも含めて\300,000以内でおさめるつもり。
H-selmer SA80II
まずい、かまえた感じが全くだめだった。サムレストの位置か角度がしっくりこない。鳴りの感じのいいのもあったが、、持った感じがmk-VIのようでないのはいただけなかった。同じSELMERで新旧交代は断念した。
yanagisawa a991
ちょっと重厚な感じだが、持った感じはしっくりきた。作りが良いのだろう。右サイドキーのストロークが小さいのは、ちょっと違和感をおぼえたが、慣れれば手の無駄な動きが少ないかも知れない。吹いた感じはちょっときつかった。自分にパワーがあって鳴ってくるまでがんばる根性があったらこれは良い。
YAMAHA YAS82z
もった感じがしっくりきた。これ、普通。パームキーはmk-VIより手にしっくりくる。ちなみに私はmk-VIのhigh-dやhigh-fにパームキー・ライザーを付けている。吹いた感じは適当な抵抗感で鳴りも良い。ただ、ちょっと行儀が良すぎるかとも。
YAMAHA YAS82z ul
ラッカーのは、あまりにも普通な感じなので、ノンラッカーも試した。テナーだと、ややぼやっとした感じだったのだが、アルトでは良い意味でのとろさがあって面白味がある。アメセルの持つ芯のある倍音は感じられないが、フラセルは超えられる。使っていく内の変化も期待して、これに決まり。

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