・・・それゆえ、中身はとても濃いです。圧倒的な負のパワーとでも申しましょうか、聴く方はかなりのインパクトを受けてしまうでしょう。前作「The Art of Falling Apart」を私は「鬼気迫る」と表現しましたが、この作品は「鬼気そのもの」!。もっともPOPな曲調「Soul Inside」でさえ、マークの暴走一人ツインヴォーカルのおかげで、悪い夢でも見ているような、そして負のパワーを吐き出しまくる極めて情熱的な曲となっております。
ただ、マークの個性の一つ「とてもよいメロディー」はアルバム通して失われておらず、かろうじてPOPの世界に踏みとどまっているところが、このアルバムのいいところ。絶妙のバランス感覚です(マーク本人が意図したことかどうかはわかりませんが・・・)。
またマーク・アーモンドに戻ります。
ソフトセルの1stアルバム「エロティックキャバレー」(1980)の大ヒットで世界的ポップアーティストに祭り上げられたソフトセルのマーク・アーモンド。ポップアーティストとして期待される虚像と、現実のマークという生身の人間像との乖離はこの頃から大きくなり始めます。相当のフラストレーションがマークに蓄積されていたようで、次作「The Art of Falling Apart〜別れの美学〜」(1982)は"POP"というだけではなく、何か”怨念”を感じずにはおれません・・・。このアルバム発表当時、既に解散説も出ており、ユニット自体に暗雲が立ち込めていた結果でしょうか・・。
1stの「エロティックキャバレー」と比べると、より音の厚みが増し、より混沌とした鬼気迫る(といっても3rdほどではないが)世界が繰り広げられています。しかしどの曲もメロディラインがしっかりしており印象的な曲が多く収録されております。「Where the Heart Is」、「Loving You Hating Me」という名曲もありますしね。
鬼気迫るという意味では「Art of Falling Apart」やボーナス曲の「Martin」なんかが大きく寄与しております。私はこの鬼気迫る2曲でソフトセルにハマったようなものです。私の場合、この2ndを最初に聴いてハマり込み、その後1stを聴いたという経緯があり、心情的にもこの2ndの方に思い入れがありますね。
高校1年生の時、リアルタイムでこれを聴いていた私・・・。曲がった青春真っ只中(笑)。
しかしJAPANの内部分裂は修復し難いところまで来ており解散はもはや時間の問題。各メンバーにとって、解散が一番いい形だと結論が出たのでしょう。「JAPAN」はワールドツアーを最後に活動停止、解散となります。
ワールドツアーにはギターに一風堂の土屋昌巳(『すみれセプテンバーラブ』が大ヒットしましたね)が向かえられております。”土屋”というこれまた異質なギターサウンドが導入されたことにより(とても煌びやかな独特の音色でした)、サウンド的にも興味深い、素晴らしいツアーだったと思います。土屋がステージから落ちて骨折しつつも頑張りぬいたというオマケ話付のツアーでした^^;)。
このワールドツアーの内容は解散後に発表されたアルバム「Oil on Canvas」(1983)で聴くことが出来ます。
「Oil on Canvas」(1983)