アメリカを理解するには、勉強だけでは無理。
「リバイバル(信仰復興)」という宗教的背景が分からなくては本質はつかめません。
「反知性主義(森本あんり著)」から、以下3か所引用。
56ページには、
リバイバルは、ピューリタン社会の知的土壌の上に開花し、以降くり返しアメリカ史に現れる、いわば周期的な熱病のようなもの。
リバイバルの初期の大波は18世紀、
アメリカ独立革命を精神的に準備した。
19世紀の
奴隷制廃止運動や、
女性の権利拡張運動に指導的役割を果たし、20世紀には
公民権運動、消費者運動にも影響を与えた。
なぜ
リバイバルが運動の原動力となるのか。
それはリバイバルが
「平等」というきわめてアメリカ的な理念を強く呼び覚ますから。
キリスト教・プロテスタントの基調である「平等」はしだいに、実社会の「平等」へと転化していった。
179ページには、
「興奮状態を維持できない。だから人間の宗教心は一時的には高まっても必ず衰退し、眠りに落ちる。
それをもう一度目覚めさせるのが「リバイバル」であり、まさに
「覚醒」なのである。
宗教は人間にとって、周期的に訪れる波のようなもの。寄せては返し、高まっては静まる。それを繰り返す」
92ページには、
信仰復興(リバイバル)は、独立革命の30年ほど前に起きた出来事。
地上の
いかなる権威を恐れることもなく、大胆に挑戦したり反逆したりする精神を準備する。
このような
自主独立の精神が、
個の自覚と
平等の意識を培い、結果的にアメリカ社会を独立革命へと導き、その後の
民主主義の発展を促した。
リバイバルは、南部や西部へも伝播し、そのたびに文化や歴史を塗り替えていった。マーク・トゥエインの
「トム・ソーヤの冒険」には、
南部の小さな町に信仰復興の波が訪れ、子どもの目を通してユーモラスに描かれている。
奴隷解放、女性の権利もリバイバル運動から原動力を得ている。
「神の前での平等」というラディカルな理念に促されて。
「リバイバル(信仰復興)」という土壌があって、あれだけのパワーが発揮できるのです。「リバイバル」という精神を知ってこそ、アメリカが理解できるそうです。
PS ぼくは関学(関西学院)で学んでましたから、学生のとき「リバイバル」を知りました。関学はアメリカ合衆国南部のメソジスト。つまり、バイブル・ベルト地域からやって来た学校ですから。(265ページ)

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