市川宏雄氏(東京生まれ)
「東京一極集中が日本を救う」という本、
陸軍出身の方が書いたような(当ブログに書きました)内容です。
この方の論文(以下のサイト)に書いてあったことに簡単に反論しておきます。
http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/onlinelecture/lec107.html
市川宏雄氏 明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科長・教授
1947年東京都生まれ。早稲田大学理工学部卒、著書「東京一極集中が日本を救う」
1. 首都機能移転に関する論議は、当初、一極集中の弊害に対する不安感などから盛り上がり、その後、移転の論拠のぶれや、バブル経済の崩壊による財政の逼迫などにより低下し、現在では既に化石化してしまっているのではないか。
論拠に敗れたのではなく、その議論をやろうとしないのが本当のところです。
東京一極集中がひどくなったのは戦後です。第二次世界大戦前まではバランスがよかった。
高度成長時代は、効率化優先で東京一極集中にもそれなりの論理がありましたが、成熟時代は効率化優先ではダメなんです。時代にあわせてかえていかないと。
東京利権を維持したい、東京生まれの人たちがこういう本をだす。
江戸時代前の京都のような考え。京都から権力をとり、バランスよい社会になったのですが、今度は東京が京都のような集中都市、つまり利権を手放さない。
2. 日本全体を平等に育成しようという「均衡ある発展」という偉大なるテーゼは、戦後50年を経て、発展・拡大する経済成長のもと、国際競争力で優位に立っているときのみ可能な国内的議論であることがわかった。
それぞれの地方色をだした発展が望まれるのです。ミニ東京ばかりでは、東京以外からすぐれた都市が出てくるのは無理。
既存の価値観では考えられない価値は中央でなく、端から出てくるもの。地方がやりやすい方向に援助するのが、東京の仕事。日本全体がトータルで繁栄すればよいのですから。
4. 成熟社会、成熟型経済に移行する日本にとってこれから必要なことは、限られた資源を集中的に投下して、効率性の高い生産を行い、成果を生み出すことである。それを最も効率的に、かつ最も多く生み出すことができる場所は東京しかない。
ヨーロッパをみても、首都パリだけでなく、ロンドンがあり、ベルリン、ストックホルムが繁栄してきたから、ヨーロッパ全体が活性化しているのです。
5. 都心回帰の現象が起きている状況で、戦後の分散政策がなぜ現実のものとならなかったのか、なぜ東京への集積がますます進むのかを冷静に判断することが不可欠である。
昔の京都への集積のことを考えてみてください。京都中心主義は効率面ではとてもよかった。しかし、江戸幕府となり、参勤交代という無駄づかいをした。商業の中心を京都から大阪にした。すると、全国が繁栄し、300年、江戸時代が続いたのです。
6. 都市問題を考える場合、大都市への集積が高まれば必ず問題が起きると考えて、その問題をどう解決するかに主眼をおくべきで、問題が起こるのであれば分散させようという議論は今や意味がない。
大阪が強くなれば西日本が強くなる。
東京の政策は西日本無視政策。東京を脅かす存在は事前に叩くという考え。
大阪文化は庶民の考えに重きを置くものです。
東京の上から目線、大阪の庶民目線。これが大切。
東京の人は「今が一番」と考えますが、
実は「もっとよい世の中」があるはずなんです。
東京は現状維持を考えますから、地方に新しいことをトライさせない。バブル崩壊以降、失われた20年と言われています。東京には、この責任をとってほしいね。
東京と大阪が競うことで、今以上の発展をすることでしょう。
7. その時代における要請と本来あるべき価値観の保持との相克は常に避けられない、持続性を持つ政策立案と実施をいかに現実のものとしていくかが大都市東京の課題である。
大都市東京の課題としてとらえるのでなく、日本全体の課題としてとらえてください。
8. 日本は国際社会という弱肉強食の世界の中で、弱者救済のセーフティーネットを整備しつつ国際競争力を常に高めていかなければならない。国際競争力を高めるという視点で、日本の大都市政策と国土のあり方を考える必要がある。
そのとおりですが、失われた20年の間、何かやりましたか。
ぼくは
東京と大阪のツインキャピタルをずっと提案してますが、議論にもならず、平行線がつづくばかり。
9. 首都機能移転にもメリットはある。海外や国内の人々に安心感を与える象徴としてのバックアップ都市はあってもいいと考える。
だから、
バックアップ都市として、大阪が必要なんです。
地震大国日本は東京一極であれば、東日本大震災や阪神淡路大震災が東京で起これば、機能崩壊するでしょう。そのときは大阪で凌ぐのです。「東西対抗意識」といったくだらない感情でこの本を書いてませんか。
以上。

この本は、東京人の目線で書かれたもので、賛成者はほとんどが東京人です。

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