8/2 に瀬戸内、小豆島のすぐ西の豊島(てしま)に行って来た。お目当てはココ、その模様を紹介させて頂きます。
心臓音のアーカイブ LES ARCHIVES DU CŒUR
Christian BOLTANSKI クリスチャン・ボルタンスキー
1944年パリ生まれのユダヤ系フランス人
学校にほとんど通わず、12歳で退学、独学で絵を描く。初期70年代には兄弟を使った実験映画の制作やジャンク系の絵画。80年代に入ると写真や衣料などを使ったインスタレーション・空間構成作品で独自のスタンスを築く。生と死を同等に扱うようなテーマに添い、様々な写真や古着やものを使い、人の記憶や痕跡を表現し作品に仕立てる。
十数年前に彼が TV に。BS ビートたけしのアート番組だったと記憶する。二人の掛け合いも楽しかったが、子供がそのまま初老の可愛いオジさんになったような容貌と、そこでの振る舞いが素敵だった。眼をキラキラさせながら微笑み作品について語るその姿は、作品だけとはついぞ結びつかなかったからだ。そしてそれを機会にこの人のことが大好きになった。それはきっと子供の頃から通底してる好奇心の強度を見た思いがしたからだ。ボクは人や作品に触れるとき、これを最重点として向き合う。
最近は減ったが、日本で芸術家というと先生なんて言われて高級なブランド身に纏い気張ってる人が多かった。虚栄を絵に描いたようなアーティスト?そんな作家が展覧会場に作品とともに陣取るなんてのが未だに日本の画壇だったりする。しかしボルタンスキーには全くこういうシーンが当て嵌まらない。前者とは違う次元に身を置いて生きてる人、っていうのがボクの観測。そして世界的評価は2000年初頭だと記憶するから相当遅咲って印象を個人的には抱く。
結局アーティストなんて代名詞なくったって、ユダヤ系フランス人・ボルタンスキーってオッチャンなんだ。そんなオッチャンが変わった芸を設えて我々に問いかけ楽しませてくれるのだ。
ということで今回のボクの旅の目的のひとつ、彼の作品「心臓音のアーカイブ」に身を投じること。彼自身も言ってて驚いたが、まさしく巡礼。お遍路さんとはまた別種の巡礼者の旅があってもいいからね。
前日 8/1 に小豆島・土庄(とのしょう)に先乗り。翌朝その展示館のある豊島(てしま)に船で渡る。本数は2時間に1本程度、時間は30分。開館20分前に到着の一番客、これは想定内なぜなら思惑もあったし。開館、入館料金500円にプラス登録料金1,500円をまとめて払う。この後者がミソ、ボクの心臓音を採録音してこの作品に参加することが出来るのである。
これが目的にここに来た、と言っても過言じゃない。まずは、本編の作品ルームで鑑賞を済まし、アーカイブされた他人の心臓音を瀬戸内の海景とともに鑑賞、そして自身の心臓音を隔離小部屋にて PC を操作・採音する。それが受付のお姉さんの PC に。これは希望者のみの特典だが、そのボクの心臓音を CD-R に焼いてくれ、小冊子とともにボルタンスキー・パッケージの箱に入れて持ち帰らせてくれるのだ。館内が混み合ってると面倒に違いないと察したからこそ、一番でここに来てそれをした次第である。ついでに作品の中でも点滅してたこのエディソン電球にポストカードも購入し戦利品とした。彼の作品に参加出来て、このような品々を自分の生活に持ち帰ることが出来るなんてホント幸せだ。
彼の作品の生展示は今回で二度目かな、画集は何冊か持っててそこからのイメージも大いにあるけれど彼の作品群、例えば、アウシュビッツでの処刑者など哀しき負の題材を扱いながら作品として本編を提示しながらも、その後味は至極甘美で小さな微笑みと同時に心地良い感動を残してくれるものが多い。こういうダイナミズムを魅せてくれる作家は稀少だと思ってる。
このオッチャン、クソ真面目な人じゃなく、きっとお茶目な人なんだと想像する。そしてアートだろうが何だろうが関係ない、このような彼の作品を味わわなきゃ惜しいよ皆さんも、なんて思うので今回ココにこのように旅の番外編&お薦めとして記したいと思ったのです。
最後に、この作品についての小冊子から引用の文面を
あなたの旅のスパイスに、こんな展示会場を訪れるのも素敵な趣向に思いますよ。
心臓音を聞くことの出来る巡礼地・豊島
https://www.youtube.com/watch?v=wywxqvFJqy8
PS 追記
以下、巡礼の suvenirs 記念品

入場券 post card light bulb 電球

電球 館前の海岸で拾ったこの地層独特の小石

同じモノが心臓音とともに点滅してる

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