I am a PIGINIST
PIG 豚が好き。1988年に「pig of jacobus ヤコブスの豚」という作品を描いたり、Rentier という店のデザインに首からリンゴをぶら下げた豚をイメージキャラに使ったり、2年ほど前にも大きな豚の油彩を制作したり、豚を題材にした楽曲に惹かれたり止まるところが無い。
古今東西「豚」と言えばあまりいい意味で使われないイメージがあるが、そこが以外に可愛く思う。そしてホニこの間雑誌で出会ったのがこのアルバムジャケットのデザイン。これにはピンと反応、いいぞこれはやるに違いないぞということでAmazonのone click
一匹の子豚の誕生から終わりまでのいろんな音をサンプリングしミックスしたサウンド、つまり豚の一生をテーマに音楽を作っちゃった。作者はマシュー・ハーバートという男。自国イギリスの農家が豚から得る収入はその豚を育てるコストを下回っていて、食材としてとても不当な扱いをされている現状があって、この作品はそんな社会批判の側面も持つけれど、決してネガティブな印象は無く愛情を感じる仕上がりなんだ。命の価値を聴くアルバムである反面、人間って悪だなということを知るアルバムでもある。あー当分は彼の仕事を追いかけるハメになりそうな予感。
マシュー・ハーバート彼はイギリスのアンダーグラウンド・クラブの巨匠と言われ、今までにも様々なパーフォーマンスをクラブで行なって来たらしい。そういう土壌としてのクラブやそれに反応出来るオーディエンスとともにアンダーグラウンド・クラブ文化があるということが素晴らしいことで、日本は大いにこれに劣るとも思う。日本にそんな文化は根付きにくい、日本でクラブと言うとディスコやライブハウスの様相が際立つ。それはバンドの生演奏、DJ、ダンスというサウンド業界の王道演目だけのラインナップになってしまうから。マシュー・ハーバートのような才能を育てる土壌がないのがいつも哀しく思っている。いやきっと日本にもそれに取り組んではいるんだが中々上手くいかないのが現状なのかもしれない、きっとそうだろう。僕たちも同じでEPSという企画を実験的に珠家で行ない始めて春で一年になるが、難しい局面に立たされることも多い。しかし、これは別の機会にまた記したい。
マシュー・ハーバートのような仕事はサウンドをビジネスから捉えた場合は難しいし、ましてや歌手やバンドが王道だとすれば完全に邪道なスタイルだ。しかしそれはデザインやアートという側面からも楽しむことの出来る懐の深さを持ってる大人なリスナーのためのものでもあると思う。と言うことでマシュー・ハーバート、これは負けてられないなー。大いに刺激になった、僕も始めたいと思います PIG project よし週末から仕込みに入るぞ。
PS あとこれに似たフィーリングを持つアルバムに nine inch nails ナインインチネイルズのダウン・ワード・スパイラルがある。豚に関係する楽曲が数曲、そして社会批判はロックそのもののもつパワーだからとして何か人間性を強力に問いかけてくるモノが確実にそこにはある。

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