迦陵頻伽・かりょうびんが
kalaviṅka
wood curving and mixed media 2018
95 x 80 x 30mm
© Takeshi Nakatani
アトリエ日乗 中谷醸造園
アトリエって工場でモノを拵え仕上げる場所なんだけれど、その行程において「モノが醸される」場所的要素も強く、そこんところ自分はすごく大切にしてココで生まれ来るモノと寝食を共にしながら生きている。
絵画やデザインにボクがやれる範囲での立体造形などをココで制作し、なおかつ醸しつつ仕上げや完成のために勤めてるのである。
現場や会場に出向いて身体一丁と才能と芸でもって生の時間を演じるシンガーや落語家はボクとは正反対ですごいと尊敬してる。自分はああは行かない。
さてアトリエからほど近くいよいよリリース最終コーナーの Paraiso Umeda の設えも仕上げ段階でちょくちょく出向いて作業中。庭の架空の鳥かご迦陵頻伽・かりょうびんがなど設置後半年経ったが春の嵐の激しい風雨で一部破損したり。ボクの木工技術ではお天道さんのパワーに耐え得る強度を作れずに甘かった次第。
さて反省と造作の変更だと言うことでアトリエに持ち帰り数週間行方を自問、醸造期間の始まりだ。
思えばパライソのリリースも結構先延ばしになった。建築の関係者さんたちから、いつオープンとかよく聞かれ困惑するシーンも多かった。これもボクの制作物同様、頭の中に保存した現在形のパライソをアトリエに持ち帰り醸す時間の中でやっとここまで来たんだという実感。
パライソは多くの人に足を運んでもらうような商店や店舗じゃありません。クローズとは言わないけど、限られた人々に伊勢での時間をボクたちの提案する空間とともに、少し深くお届けしたいと望む施設であり装置なのです。
昨日他の小さな破損箇所も現場で修復出来たことで、この迦陵頻伽の一件も次なる道筋が立った。仕事や生活にあるフローってのは不思議なものだ。悪しきも善きも乗っかるしかない。この際自然体でなければならぬ、バタバタすると逆に溺れるからね。

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