全日本を振り返りついでに、カナちゃんの事にちょっと触れてみようかな。
私が、MTBのレースを始めた時に、女子のトップを走っていたのが「谷川可奈子選手」だった。
国内のレースでは、オーラを放ち、ワールドカップにもたった一人で参戦し、成績もきちんと残していた。
ロードの世界から来た私にとって、選手は体育会系のイメージしかなかったけれど、カナちゃんはしっかりお化粧をしたり、会場にもお洒落な格好で現れたりで、体育会系のイメージがゼロ。
それでいて、レースとなると、すごい集中力で抜群の強さを発揮。
かっこよかった。
私も、ロードの脚があったので、勝つ事もあったけど、初めて出た世界選で、その差を目の当たりにした。
わけもわからず、夢中になって、観客の声援の凄さに鳥肌たてながらゴールした私は、トップから28分(だったかな?)遅れ。
一方カナちゃんは、強豪と渡り合って13分遅れ。
実際にはタイム差以上の差を見せつけられ、世界のトップとカナちゃんの差以上に、私とカナちゃんには差があるんだと感じた。
この世界選が私に火を付け

、世界の中で闘えるようになりたいと強く思うようになった。
二人は性格も、走りのスタイルも全く違うので、カナちゃんのようには出来ないけれど、抜きつ抜かれつ切磋琢磨し、お互いのスタイルで世界を目指して走っていた。
競技の事とか、ガンバロ―とか、あまりそういう話はしなかったけど、そんな言葉は必要なかったかもしれない。
シドニーオリンピックの前年には、UCIポイントを稼ぐ為に二人でワールドカップ全戦必死に回ってた。
その初戦のUSAナパバレーで二人共、トラブルで完走出来ず、一緒に大泣きしたっけ。
シドニーが終わり、カナちゃんには子供が出来て、子供を産んでからも、ちょこっとレースに出てくる事はあったけど、それからももう8年位たったかな?
二人目の子供がまだ産まれて間もない頃に、一度カナちゃん家を訪れた事があるけど、二人の娘との奮闘ぶりに、お母さんの大変さを感じた。
二人の子供をしっかりと育てつつ、たくさんの子供達にMTBを教えたり、イベントの企画をしたり・・・
そんな生活の中で自分のトレーニング時間を作って、長年のブランクを乗り越えて、ここにやってくるのは、並大抵な事じゃなかったと思う。
レース前日に会ったカナちゃんは、ケラケラと全然走れないような事を言ってたけど、この人がただ楽しむだけに、この大会に出てくるはずはないな、と思ってた。
そしてレース。
スタートで飛び出したリエちゃんに追走したのはカナちゃんだった。
さすがに以前の力はなかったけれど、厳しい3〜5位争いをし、4位でゴール。
ゴールして倒れたって聞いて、「やっぱりカナちゃんはスゲー!」って思った。
子供から、おっきな金メダルを首にさげてもらってたけど、本当に金メダルだよ!
今は二人共、あの頃のように、世界を目指しているわけではない。
けれど、それぞれの生活の中で、レースに取り組む真剣さは変わる物がないと思う。
これから先の事はわからないけれど、お互いのやり方を尊重しあえて、エネルギーを与えあえる。
それが、とてもうれしかった。
long time ago


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