『技術系ブログ!』って書いてはじめたブログなのに、
ギター作る人が書いてるブログだって言うから楽しみにしてたのに、
「あんまりカンケーない内容だよね。」
…と先日、友人に言われてしまい、
慌ててなんかそれらしいのを書こうとしています。
ギターを製作したり、修理したりを仕事でするようになって
結構良く聞かれるのが
「ホントにパーツや材料が違うと音が変わるのか」
「なんでエレキギターなのに材料(木材)が変わると音が変わるのか」
ということです。
世に出回っているギターの多くは木で出来ています。
(意外にコレを知らない人も多い)
ギターに使用される木材の種類は結構沢山ありますが
そのそれぞれに特徴があり、
そしてまた、同じ種類の木でもいくらか個体差があります。
どの種類の木材がどんな特徴の音なのかは、
細かく言うとキリが無いのでおいといて、
もっと簡単に、たとえば『硬い』とか『軟らかい』とか
『木目が通っている』とか『木目がほとんど判別できない』とか
『体積のわりに重い』とか『軽い』とか。
木材に限らず、世の中の物質はみなそれぞれに
様々な特徴があります。
その特徴が、ギターの場合
音にも影響する、というわけです。
…あれ?「だから何だよ」って?
木の箱に2本の棒を立てて糸を張ったものと、
鉄の箱に全く同じように糸を張ったものを想像してください。
その糸をビョンビョンとはじくと、ホラ、音色が違う気がしませんか?
木の箱のほうは「ボンボン」と暖かい音、
鉄の方は「キンキン」と金属的な音。
もし材質がどちらも木材でも、
上記の箱のような空洞がある木と、
全く空洞のない木のかたまりでは音が違うでしょうし、
その木の大きさでもまた音が変わりそうなことも
想像できるのではないでしょうか。
弾かれた糸の振動は糸に留まらず、
糸→糸を支える棒→箱→糸を支える棒→糸…
…ととめどなく繰り返し、お互いに様々に作用し、
糸の振動を複雑に変化させていきます。
つまり、直接はじいている糸(弦)が同じ状態でも、
それを支える棒や箱(ギターで言うとネックやボディーなど本体やパーツ)の材質や質量、
大きさなどが変われば、振動の伝わり方が変わり、
糸(弦)の震え方が変わり、音色も変わる、ということ。
ちなみに、エレキギター・エレキベースも
方法は様々ですが弦の振動を電気信号に変換しているので
微妙な弦の振動の違いは
最終的にスピーカーやヘッドフォンから出る音の違いとなって現れる、
というわけです。
余談ですが、エレキギター・ベースの音色を判別する際に
必ず、生音(アンプにつながない状態の音)も聞いてみる事をオススメします。
難しく考えずに、生音を聞いてみて
大きな音が出ているかどうか、
もっと弾いてたいなと思える音が出ているかどうかを確認してみて下さい。
いつも弾いている、もしくはその場にある他のギター・ベースがあれば
その生音と比べてみるのが分かりやすいかもしれません。
もちろん、エレキギター・ベースの場合、
生音より最終的なエレクトリックの音が重要なわけですが、
あとで電気的な部分に手を入れるのと、
生音に影響する部分に手を入れるのとではコストが全く違います。
木材を変更するなんて事になると、
それはもう新しくギター作ってるようなもんですもんね。
生音が「いいな」と思える音なら、
電気的な部分を頑張って手を入れれば、
エレクトリックも好みの音に持っていきやすいと思います。
話がそれましたが、
要するに、少しの違いが確実に音色に影響するといえます。
その一つ一つが小さな影響でも、
それを沢山積み重ねる事で思い描いた音色に近づける、という。
…ああ、なんてロマンチック。
ギターやベースを作る人は、今までの経験や知識をフル活動させて
演奏者の好みの音に近づくように、あの手この手で迫るわけですね。
ですので、アナタがギターやベースの修理依頼・特注オーダーしに行く場合、
好きな音楽やミュージシャンを大体まとめておく事はもちろん、
髪型やファッション、持ち物も
自分の好みがよく表われているなぁという状態を作って行きましょう。
リーゼントにライダースの革ジャンの人が来れば、
ロッケンロールな音を目指しますし、
キャスケットに厚めのスウェット生地パーカーの人が来れば、
ブルージーな音を目指します。
口ひげに全身タイツの人が来れば、
「ドンドンチャ!ドンドンチャ!」と足を踏み鳴らしますし、
カワイイ女性が来れば、全力を尽くします。
…ともあれ、色んなところから得た情報をもとに
ありとあらゆる方法で
求めているであろう音色を実現するよう努めるわけです。
また、皆さんも
自分の好みを理解してくれそうな、
好みを共有してくれそうな技術者を選ぶことが必要ですね。
ちなみに僕の好みは、笑顔のステキな女性です。
…ちがうか。

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