実のある人というのは、人を裏切らない人です。自分にも他人にも常に誠実であろうとする人です。うそをつかない人です。弱さとやさしさをはき違えていない人です。
なかなかそういう人にはなれません。例えば「やさしい人」というのは弱い人とは違います。心が強くなければ本当に人にやさしくなどできないと思っています。
うそをつかない。自分に対しても他人に対しても・・・それはとても難しいことです。
努力して自分の中の「実」というものを育てたいとは思っていますが、なかなか難しいです。
虚のある人が多くなりがちです。絵空事を自分の中で大事に育てている人もいます。他人に迷惑をかけないのであればいいのですが、そういう人はなかなか他人や家族の迷惑に鈍感なものです。自らへの反省も踏まえて詩文の中の「虚」を消すように努めています。
心の中に「空」を作ることは心の風通しを良くするために必要なことですが、これが案外自分の中の絵空事に気づかせてくれる指標になるものです。
実のある人。そういう人は地味で目立たずひっそりと世間の片隅でこつこつと自らの生業に力を尽くしているように思います。宮沢賢治の詩ではないですが、そういうものに私もなりたいものです。

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