朝、まだ暗いうちに起き出して準備をします。と言っても大した準備は必要ありません。双眼鏡と単眼鏡と鳥類図鑑と、この時期なら防寒具に身を固めればOKです。
金沢近郊の野鳥観察ポイントは結構ありますが、私のお気に入りは河北潟近辺です。大きな湖だったのですが、干拓が進み湖水面はもう三分の一ほどしかありません。
でも、干拓地は開けた農地になっていてチョウゲンボウという小型の猛禽類などがいて、サギや鴨類も水辺に多く棲息しています。
何より朝日が干拓地の向こう側に見える山際から登ってくると、とても綺麗です。朝の冷気の中でしばし朝日を拝して佇んだりしてしまいます。
バードウォッチングの醍醐味は鳥たちの体色の美しさに目を見張る瞬間です。自然の中に「ただ居る」だけの鳥がくちばしから白い息を吐き出していたり、胸毛の辺りに鮮やかな朱色や緑色が着いていたりすると、眺めていて「ハッ!」としてしまいます。
図鑑で調べて、珍しい渡り鳥だったりすると宝物を見つけたときのように嬉しくなってしまいます。
私は八倍から二十倍くらいの大型の双眼鏡を使うのがほとんどです。視野が広いし、明るいので鳥を見やすいし、移動しながら見つけるのに便利だからです。単眼鏡は、観察小屋というバードウォッチングの専門の施設に入ったときなどに使います。これは三十倍以上の高倍率の望遠鏡でしっかりした三脚に固定されていて、遠くの鳥の観察なんかに使います。河北潟にもこの観察小屋が設置されています。誰でもいつでも入って使用していいようになっていて、中には観察ノートなんかが置かれていて、どこかの誰かが見つけた鳥の名前と感想なんかが書かれています。
私は、娘を小さい頃からこの趣味に引きずりこんでしまったので、大抵二人で出かけます。娘もどっぷりとこの楽しみに浸りこんでいますので、小屋の中ではお互いに無言で鳥達と向かい合って楽しんでいます。バードウォッチングが好きになると、普段街中を歩いていても梢の鳥達が気になります。自然と木々の芽や花や、植生などにも興味が行くようになり、自然の変化が目に止まるようになっていきます。
環境保護というのは、人の目が自然にいつも向いていることが大切な事だと思います。そういう意味でも、この趣味が皆に広まってくれたらいいなぁなんて勝手に思っています。

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