好きな小説の一つに「デューン 砂の惑星」フランク・ハーバード著があります。
壮大なSF叙事詩で人の老化を鈍化させるメランジという物質を算出する砂の惑星をめぐる攻防を描いた作品です。駄作と言われていますが、名匠デビット・リンチ監督の下で映画化もされました。映画についてはその映像美はなかなかのものだったと思っています。
小説は何巻もの長さになっていて後年続編も書かれています。砂の惑星では「水」が人の命と同価値とされ、人は特殊なスーツを全身にまとって自らの放出した水分をすべて回収して再利用して生きています。砂漠には巨大なワームのような怪物が棲んでいて、現地人はこれを飼いならして移動手段や戦争の道具としています。
そして魔女とよばれる声と言葉によって人を支配する力を持った女性たちも登場します。何しろ中身が濃すぎて一つの大きな異世界に取り込まれたように読んでいると感じてしまう作品です。
私はこの作品の中の一つの言葉が好きで座右の銘のように時々思い出しては悦に入ることがあります。それは「恐怖は心を殺すもの、じっとそれを見つめてみよう。そうすれば恐怖はいつの間にか通り過ぎていく」というものです。主人公が戦闘訓練で教わる教訓の一つですが、マインドコントロールの一つの指標になるように思います。若い時はよく心の中でつぶやいたものです。デューク・アトレイデ(主人公)は今も心の中に生きています。

8