テレビ番組で切ない言葉を知りました。
NHKの番組で「赤ちゃん縁組で命を救え」という特番でした。特別養子縁組という制度を利用して子供を産んでも育てられない人から赤ちゃんを引き取って里親に託すことを愛知県の児童相談所が何年も前から実施している・・・そういう内容でした。
現在は新生児の段階で里親のもとへ託されています。そのためには里親さんには厳しい条件や講習が義務付けされています。それでも里親になられた親子が何組も紹介されて親子ともどもにとても幸せに生活している姿が映し出されていました。
しかしこの赤ちゃん縁組も最初の頃は一歳から二歳くらいになってから里親さんの元に託されるばあいがあったそうで、その時に起きる現象と言うか儀式というかが「親試し」です。
赤ちゃんと言ってももう幼児と言える子供は里親さんに対して理不尽なことを何度も何度も仕掛けるそうです。遊んでいる間に里親さんの身体を血が出るほどに何度も何度も噛みつく、わざとごはんの時に汁物をひっくり返す、等々・・・それが「親試し」。
生まれてからの空白の時間の穴埋めのために、そして里親さんの愛情の深さを確かめるために身体を死ぬほどの力で噛む・・・・何と切ないことだろうと思います。親と子の間にはそれだけ強固な結びつきがあるのだと言う事だろうと思います。
引き離された子供さんの心にどれだけ恐ろしい空白が出来てしまうのか・・・・そのために現在では新生児の段階で託される形になったのだそうです。そのために里親さんには赤ちゃんの性別や障害の有無は問わないと言う誓約が課されるそうです。
そして必ず血のつながりが無いことを子供さんに告知するという義務も課されるそうです。でも現実にそれらの誓約は親子の間に何の問題も産んでいなくて良好な家族関係が出来上がっているようでした。
それにしても「親試し」は強烈に親子の在り方というものに向き合わせてくれた事実でした。
追伸
「親試し」の際に里親さんは子供さんを決して叱ってはいけないのだそうです。

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