私達の世代にとって戦争の影というのは、仏壇の上に飾られていた軍人姿の身内の遺影と親達の戦争体験談ぐらいです。
それと思い出したのが、子供の頃見かけた傷痍軍人さん達の路頭に立っている姿でした。現在では全く見かけることはありませんが、私の子供の頃には近くの大きな寺院の門前などに二人組くらいで立っていました。
思い出しても顔の表情や細かい服装などは全く覚えていません。白い患者服を着ていたのだけを思い出します。怖いもののように、見てはいけないもののように感じていたのを覚えています。
今考えれば、戦争で傷を負い働けなくなって国からの援助も今ほどしっかりしていなかったから食べていくためにはそういうことをしなくてはいけなかったのだろうと思います。
最近、南方で亡くなられた方達の遺骨回収のお話などと何故かご縁が出来て、そういう日本に帰れなかった日本兵の方達の魂と接する機会がありましたが、そういう魂にとっては今も戦争は続いていて、母親の元へ帰りたいと強く願っている魂が異国の土の中に何万人も眠っているのは間違いないことです。
戦争・・・大きな間違い・・・それによって残されている傷跡はまだ完全に修復されてはいないようです。
戦争の影を思います。

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