忘れられない人がいます。忘れてはならない人なのかもしれません。何年か前に私のスクールに通っていた男の人です。ずっとこのブログを読んでいてくださる人は憶えていてくれているかもしれません。
私と同い年で輪島で野菜の行商をしながら、御陣上太鼓という郷土芸能の太鼓の打ち手でもあった人でした。陽気な人で大の酒好きで、それなのに肝硬変で一度吐血している状態で私のスクールに習いに来ていました。
野菜の行商よりも整体師になることを目標にしていたようでした。スクールの過程が八割ほど済んだところで一旦能登の輪島に戻って、整体の仕事先を探している最中に、また御陣上太鼓を演じて酒を飲み、吐血して急死しました。それも私の誕生日の朝のことでした。
その日はまた、父が冬の道で転倒して腰の骨を折り手術のために病院に入った日のことでもありました。
後に私はいっしょに習っていたスクール生達といっしょに彼の実家に卒業証書を持って焼香に行きました。
それから彼の魂は時々私のスクールを覗きに来ます。彼が来るとその独特の陽気な波動でわかります。女好きでもあったので、美人のスクール生なんかだと余計やって来るようです。
昨日も私の高校の時の同級生で美人の女性で太鼓が趣味でやっている患者さんが来ていたのですが、彼女の師匠がやっぱり酒好きの太鼓打ちなので心配してそばに来ていました。自分と同じように酒で身体を壊して欲しくないそうです。彼女には事情をお話して彼のメッセージを伝えておきました。太鼓打ち同志の友情のようなものなのかもしれません。

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