立花 隆さんのNHKの思索ドキュメンタリーを観ました。立花さんご自身が膀胱ガンを患われたことをきっかけに「ガン」という病気への探求を始められた・・・その道程の記録でした。
今や世界中で二人に一人はガンになり、三人に一人はガンで亡くなるのだそうです。
そして、ガンという病気の本質を世界中の著名な学者の方達にインタビューしながら突き詰めていくと、「人の生と死の本質」という所に繋がっていくことが分かっていきました。
ガンが「転移」する仕組みは、本来なら身体を病原菌から守るはずの免疫細胞がガン細胞の浸潤という行為を手伝う形で後押ししていることによって「転移」が全身に及ぶことが分かりました。
また抗がん剤が多数開発されていますが、抗がん剤が本来死滅させなくてはならない「ガン幹細胞」というガン細胞の親玉のようなものがあって、これを死滅させようとする抗がん剤は「人の生命そのもの」を危うくするものになってしまうということが分かってきました。つまり、「ガン」という病気の本質は人の命の本質ととても密接に結びついているということなのです。
私の私見なのですが、私は「ガン」という病気の心因性の部分について「頑固」という言葉の「頑」という部分がとても重要なのではないかと考えていました。
物事に固執する性質の人にほどガンという病気が出来やすいのではないかと考えていたのです。
でも「頑固」の「頑」という言葉は「頑張る」の「頑」でもあります。人にとって「頑」という言葉が示す特質は悪いことばかりではなく、前向きに前へ進んでいく原動力ともなる性質でもあると思います。
人の前向きな心が「ガン」という病気を生んでいる・・・そう結びつけるのは極論かもしれません。
でも、立花さんの番組で分かった「ガン」という病気の本質を考えてみると、人の心の中での「頑張り」という部分と何だかとても似通っているような気もします。
人は進化の過程で、前へ前へと突き進む「攻撃性」のような性分を身につけました。その結果として「ガン」という病気を得たのでしょうか?
「頑張らない」で生きるということはどういう事なのでしょうか?そうすることが「ガン」にならずに済む生き方なのでしょうか?
立花さんは番組の終盤で研究の結論を「死ぬまでちゃんと生きる」という言葉で締めくくっておられました。
今のところ私は「頑張る」という行為や思いの反対の立場を考えるなら「無心」ということかな?と思います。「自由」でも「空」でも「無頓着」でもない、「無心」になって生きることこそが今のところ「ガン」という病気から逃れることが出来る生き方なのかもしれません。

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