ある方の前世を霊視し始めると天使の姿がクローズアップされるように視えてきました。
白く輝く天使の姿は彫刻のようにも、そのまま生きている天使の姿にも視えました。
場所はヨーロッパのどこかの大聖堂の修復現場のようでした。彼女の前世の姿は聖堂の天上付近を飾る天使の彫刻群の修復のための石灰を捏ねる仕事をする下働きの職人でした。最も身分の低い人間として黙々と仕事をしていました。
そして、大聖堂の修復が完成し、それを祝う祭典が行われました。ステンドグラスからは外の光が降り注ぎ、司祭達が大勢、町の有力者や貴族達も大勢参列しています。そして、修復に携わった職人の彼も参列者の後ろの方で見守っていました。
最後に大司祭が「神の祝福が皆にあらんことを・・・」と言葉を発した瞬間、ステンドグラスの他の部分が薄暗くなり、一筋の明るい光条が
下働きのその職人を包み込みました。
沢山の出席者の中から彼だけが神からの祝福を受けているように見えました。周りの人達もざわめきましたが、ただの偶然だろうと思い返し何事も無く祭典は済みました。
しかし、翌日から工事の後片付けや何やかやで彼が聖堂に入っていて、司祭が「神の祝福」を言葉にすると必ず彼にステンドグラスから一本の光のすじが伸びて、包み込むのです。そういうことが四日、五日と続くうちに人々は「奇跡」を眼にしていることに気付き始めます。
貧しく、誰よりも地位の低い彼を天使の光が包む「奇跡」は十日間続きました。一度などは決して光が普段届かない影の場所に立っていた時などは、聖水を湛えた水盤に光が反射し、さらにステンドグラスに反射して光は彼に届いたのです。
彼は「聖人」に準ずる人として、多くの人に敬われる存在となり、一生食べ物に不自由することなく暮らすこととなりました。どうして、彼が天使の加護を得たのかはわかりません。そして、そのような前世を彼女に伝えられたのが何故今なのか、私にもわかりません。でも、彼女はこのメッセージを聞いて涙ぐんでいました。天使は自らの名前を「ラファエル」と告げていました。

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