なかなか面白かったです。子供向けの小説とは言うものの大人が読んでもなかなか楽しめます。
読んでいない方のためにストーリーをさらうことはしませんが、作者は結局「悪」というものが世の中に絶対的にあるものだということは認めたくなかったようで、「善」の中にも「悪」はあるという究極の真理に行き着いたようでした。
普通に善良に暮らしている人の心の中にも「悪」という要素は普通にあるもので、それをどう消していくか、「善」に作り変えていくかそういう所に人の生き様というものの質というものが現れてくるのだと作者は子供達に伝えたかったようです。
それは不遇な半生を送っていた作者が厳しい世間の波にもまれていくうちに気付いたものだったのかもしれません。そうすることが自分も周りも幸せにする唯一の道だと気付いたのかもしれません。
命というものの大切さをどれほど強く子供達の心に焼き付けていかなくてはならないかと言う点では、少し粗くて雑な感じも受けました。西洋人は命をこんなに簡単に散らしてしまうものなのか?これは最終巻で出てしまった作者のあせりかもしれません。もう少し命の尊さを深く描いて欲しかった。そういう感想を持ちました。

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