飴買い幽霊という伝説は全国にあるみたいですが、金沢にもあります。
夜な夜な若い女の人が飴を買いにやってくる。こんな夜中に不思議だなと思って飴屋の人が後を付けて見ると墓場へ入っていく。やがて聞こえる赤ん坊の声。すると不思議なことに生まれたばかりの赤ちゃんが飴を与えられて一人で泣いているのが見つかる。死んだお母さんの幽霊が飴を与えて育てていたという幽霊話です。
金沢ではその飴屋があった辺りに「幽霊坂」という坂道があって私の出身中学のそばで有名でした。
実は先日の霊視でその飴屋のおかみさんが前世だという方に出会い、この幽霊話の真相がわかりました(と言っても私の妄想かもしれないので・・・)。
この飴屋のおかみさんはとても捕り物好きというか、ゴシップ好きというか事件好きで、金沢の街中のいろんな事件を好奇心満々で聞いて回っているような方でした。
そして、ある若い娘が大店の若旦那に騙されたというか身分違いの恋で赤ちゃんを産みそうだというお話を聞きつけました。早速、娘の所に行って話しを聞くと何よりも可哀相なのは生まれてくる赤ちゃんだとこのおかみさんは思われたようで、そこでその当事者である大店の父母に交渉して、世間が認めてくれるような話にするから赤ん坊を養子として引き取るように話をつけました。
そして、考え出したのがこの幽霊話です。幽霊がけなげにも一生懸命死んでまで育てようとしていた赤ん坊を引き取って育ててあげようという美談に仕立て上げて、赤ちゃんを実の祖父母に養子として引き取らせるようにしたわけです。娘さんも我が子の事は心配せずに、身分相応な相手の所に嫁いで行くことが出来ました。
小さい頃から聞いていた幽霊話にこんな「裏」があったとは・・・不思議な話ではあったけれど、人の人情というものが色濃く生きていた時代だったのだなぁと思ったりもして、「幽霊」という存在は時代の不条理をある意味現したものだったのかもしれません。でもまぁ目出度し目出度しのお話でよかったでした。

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