私が子供の頃に成りたかったものと言えば、もしかしたら「ドリトル先生」かもしれません。小学校の高学年から中学生にかけての時期に巡りあって夢中になって読んでいました。
現在のハリウッド映画のエディ・マーフィー主演のドリトル先生は面白いのですが、味があまりにも変っています。イギリス風味がとても強い小説だった「ドリトル先生シリーズ」が大好きでした。
ノアの洪水時代から生き続けている大亀の話を聞くストーリーなどは、その神秘的な内容の中に人と動物の愛情が濃く盛り込まれていてわくわく、ほのぼのとさせてもらいました。
その頃飼っていた犬や金魚に何度も話しかけてしまったものです。金魚や小さな魚達にも言語があって、海底を旅することが出来る「大うみかたつむり」と会話するには、海のとても小さな魚の言語を習得しなければならない・・・なんて言うそのストーリーの巧みさにぐんぐん引き込まれていったものでした。
最初は「ドリトル先生航海記」という一巻だけかと思っていたら「ドリトル先生月へ行く」を始めとして何巻もあるのを知って飛び上がるほど喜んだものでした。
トビー少年になりたかった・・・。イギリスの町並みや、古い時代のイギリス人の暮らしぶりが凄く伝わってきて、歴史があって古い生き方と進取の気質が同居しているイギリスという国がとても好きになったものでした。
今でも、時々「ドリトル先生」には本の中で会います。彼の何事にも動じない気質と動物や生き物に対する豊かな愛情は「人の本質」というものについての強いメッセージを私に与えてくれるように思うからです。人に絶望しそうになったときに「ドリトル先生」の本は勇気を与えてくれるように思います。

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