ある女性の前世を視せて頂いたときのことだった。暗闇の中で必死に穴を掘り続けている姿が視えた。
彼はイギリスの炭鉱夫だった。文盲率の高い彼らの中で珍しく字を読める彼は「詩」を読むのが大好きだった。
仕事が終わると、ゆったりと椅子に坐って好きな詩人の詩集を読みふけるのが彼の生きがいだった。
そして、彼には別名が付いていた。「ラッキーマン」という名前だった。彼は生涯で二度の落盤事故を生き抜いた経験を持っていた。何故、彼は落盤事故を生き抜けたのか?それは、彼の心の中にいつも「詩」があったせいだった。
真っ暗な落盤の現場で気がついた時、人は大抵パニックになりあえぎ、もだえて自分を見失い大切な酸素を無駄に使って自滅してしまうものだが、彼は違っていた。
「そは汝の心の宮殿は
暗闇の
何も見えず 光の無い 暗闇でこそ
光り輝き
その細部の美しさと貴重さを
汝の前に見せつけるだろう
光の無い暗闇こそ
心の宮殿の形を露わにするもの
心の宮殿はこのように広く 美しく
遊ぶ場所が多くあるものなのだ」
このような「詩」が彼の埋まった身体と心を奮い立たせた。彼はパニックにもならず、自分の埋まった坑道の位置をはっきりと思い出し、自力で掘り進み救助の手の元にまで戻ることが出来たようです。
二度目の落盤事故の後に彼は引退し、余生は沢山の「詩集」を読みふけりつつ、慎ましく生涯を終えられました。
心の安定・・というのはとても大きな力となって、人を救うものなのだろうと思います。困難な状況に陥ったときに人をダメにするのは「諦めの心」であり、決して最後まで諦めない心が奇跡を引き寄せたりもするのだなぁ・・と思います。

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