オレの部屋に四人目のメンバーが入ってきた。滋賀県からやって来た[坊主頭で、雰囲気が似ているから…]カツオ君だ。フェリーで福井の敦賀から苫小牧までやって来て、苫小牧からは自転車で標津にやって来たライダーならぬチャリダーってやつだ。たぶん300キロくらいペダルをふんできたんやないかな。すげぇ、オレはまだまだアマちゃんだ。Tシャツから、はみ出た部分、腕、顔は真っ黒に日焼けしている。早速鮭加工の行程に入って、カツオ君は箱の中に鮭を詰め込んでいく。まぁ、初日だから手がおぼつかない部分もあったが、それなりに仕事は出来ていたと思うのだが、事件は翌日に起こった。
なんと、二日目の朝に辞めて、帰ってしまったのだ。理由は仕事についていけないと言うことだそうだが、入ってまだ一日しか経っていないのに仕事についていけないなんて、当たり前のような感じがするのだが…このアマちゃんなオレも最初の三日間は正直慣れない環境で泣きそうだったのに、何とかここまでやっているのだから、大丈夫だよと言っててあげたのだが、本人の意思は固く、チャリダーは風の様に現れ、風の様に去って行ったのであります。カツオは鮭には縁がなかったのかな。

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