力のある者達が
ちゃんと本領を発揮して
その表現でバトルをすれば
どうなるか?
面白いに決まってるんだ
KSWM。にゃんしー君の初主催により
これまでのSSWS、KSWSとは違った趣だったが
ファールチップvs池上宣久で一気に火が付き
最後の無差別級トーナメントでは、すっかり
SSWSやKSWSの醍醐味が再現されていた。
今回の企画の目玉は
ATOMvs平居謙であり、chori vs上田假奈代であったハズが
意外にも(?)ファールチップvs池上宣久が、事実上の決勝戦になった。
40代会社員お笑い系朗読で詩のボクシング強豪の池上さんに
若手HIP HOP3MCがユニットを組んで挑む、っていうか
ファールチップが勝てば、なぜか賞金は池上さんの財布から出るという
オヤジ狩りマッチとして組まれており、1人vs3人だという点からも
ファールチップが悪役的な立ち位置で、しかも先攻後攻を決めるジャンケンで
池上さんが「ジャンケンも3人でかかってこい」と挑発して、
3人ともに勝ってしまう事件!などあり、場内は池上さん応援ムード。
が、しかし、ここで先攻ファールチップは、この日の為に書き下ろした
野球がテーマの傑作曲を披露。野球の定番応援歌である
コンバットマーチを引用したヒューマンビートボックスに、
リズム・フロウ・ライム、非常に練り込まれたラップが乗り
お客さんを完全にロック。対する池上さんは、
波平シリーズ以来のクラシックになるであろう名作「あ段のうた」を披露。
日本語の、母音が「あ」の発音だけで構成されたナンセンスな世界を
狂気のエネルギーで絶叫、熱演し、大爆笑と共に感動と衝撃を残した。
結果、3対2の1点差でファールチップが勝ったが
決勝後の最後の審査員コメントでも複数の審査員から
「今日のベストアクトは池上さん」との声が上がり
客席からも惜しみない拍手が送られた。
もし、池上さんが勝ち上がっていても優勝したかは分からないが
ファールチップは、池上宣久を倒した事で一気に優勝に近付いた。
ファールチップは、この日の為に組まれたユニットであり、
池上さんとの戦いしか想定してなかった為、無差別級トーナメントでは
完全即興フリースタイルだったが、危なっかしいながらに諦めず韻をつなぐ
そのひたむきな姿は、まさに高校球児の如く場に居る者達の心を掴んだ。
KSWMでしか有り得ない対戦、有り得ない結果として
ファールチップは、なるべくしてチャンピオンとなった。
他にも、永尾蕗子の歌声の力に感動したし
平居謙、ATOM両氏の本気度に恐怖したし
上田假奈代の切実さには戦慄を覚える。
そして、審査員の佐相憲一さんの
真摯、かつ的確過ぎるコメントに感銘を受けた。
分かる人には、何でも分かるものなのだろうか?
ジョナサン.H.マスカーキーは、もちろん熱かった。
最後に、主催のにゃんしー
初主催で、やりたい事詰め込んで穴は凄くあるし、
大物出演者を迎えるには主催者として失礼なレベルだけど
ちまちまやってても大きくなれない。いきなりデカく打ち上げた企画。
「成功」だったんじゃないか。
怒られながらでも、また派手な事を企んで欲しいな。
大人にならずに。いつまでも詩人のままで。

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