昨日のNHKTVで、古い和服の生地をリメークして、アロハ・シャツを作るというデザイナーの作品を見た。もともとアロハ・シャツは、日本の移民の方々が和服をハワイの気候に合わせて、デザインしたのがその起源、始まりだったという。「本物の和は世界に受け入れられる。」
深い〜〜お言葉です。
何に話を持っていきたいかというと、古くからある良き楽器、三味線、笛、太鼓、琴、尺八といった和楽器で、今世界中から高い評価を受けているスタジオジブリの楽曲を演奏したら、最も日本人が幸せに感じる音楽が出来上がることは間違いない、ということ。
井上良平、井上公平という双子の兄弟がいる。元鬼太鼓座の主要メンバーとして太鼓、三味線、篠笛を巧みに演奏する和楽器奏者たち。AUNというユニットを組んで活動している彼らが、今年は何人かの和楽器奏者も加えて、AUN J−CLASSIC PROJECTを進めようとしている。J−CLASSICのレパートリーとして彼らが最初に選んだのが、スタジオジブリ作品の数々だ。
鬼太鼓座にいた12年間に世界各地16カ国1000回を越える公演活動を行い、2000年にはいってからAUNとして全米100箇所のカレッジ・コンサート・ツアーを重ねてきたそのライブ活動は、AUNの持つパワーと技量を如実に証明するものだ。
大太鼓をパワフルに連続演奏する圧倒的迫力。二人羽織のように1台の三味線を、一卵性双生児であるふたりが演奏する驚きのエンタテインメント。彼らのステージはショーとして完成の域に至っている。こうしたフィジカルなエンタテインメントと芸術性で世界に名を馳せてきたAUNが、宮崎アニメをはじめとしたスタジオジブリ作品に挑むことは、彼らにとっては、聴衆とコミュニケートするあたらしい"和のTOOL”を融合することだ。”和”という言葉には”加える”という意味もありましたね。
♪ポーニョ、ポ−ニョ、ポニョ♪はもちろん、♪トットロ、トットーロ♪とか、♪はりつめた弓のふるえる弦よ♪という、リズム・メロディー・ハーモニーだけでない詞やアニメ作品の感動の残像が加勢する時、AUN PROJECTは和楽とアニメの領域をクロスオーヴァーさせた新世界をわたしたちの前に展開してくれるだろう。
わたしたちの遺伝子はまず和の楽器、和のアニメは何の違和感もなく受け入れるだろう。だが日本以外の世界の音楽ファンがこれをどのように受け止めるかについては大いに関心がつのる。AUNの紡ぎ出す、古くて新しいファッションは、世界の人々に喜んで着てもらえるのだろうか。
(作品は2008年11-12月発表予定です。)
BVCF-34114(2005年アルバム『EAST』)

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