日本を代表するクラシックの指揮者の岩城宏之さんが、リスボン交響楽団を聴衆の前で指揮していた時のこと。当然岩城さんは頭の中に楽譜を描き、暗譜していた。ところが出るべきところで、オーボエの音が出てこない。われら凡人の発想ならどうやって聴衆をごまかせるかで指揮を続けるかもしれない。しかし大指揮者は演奏を止め、聴衆の方に振り返り、「ごめんなさい、わたしのミスです」と言って、謝罪した。その後曲の途中から演奏を続行、無事その日の指揮・演奏を終了した。
このことがあって以来、リスボン交響楽団の団員の岩城さんへの信頼は増すばかりで、岩城さんとリスボン交響楽団の名演も数多く誕生したそうだ。
岩城宏之さんは、2006年6月13日心不全のためお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りいたします。

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