特別養護老人ホームや通所介護などの機能訓練指導員は、「はり師・きゅう師」でも担えるようになります。ただし、「はり師・きゅう師」以外の機能訓練指導員がいる施設・事業所に6ヵ月以上勤め、機能訓練指導に従事した経験を持つことが要件となります。その要件についてQ&Aが出ました(ちなみに問32は、私が厚生労働省に質問した内容です)。
問32 はり師・きゅう師を機能訓練指導員とする際に求められる要件となる、「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で六月以上機能訓練指導に従事した経験」について、その実務時間・日数や実務内容に規定はあるのか。
(答)
要件にある以上の内容については細かく規定しないが、当然ながら、当該はり師・きゅう師が機能訓練指導員として実際に行う業務の頻度・内容を鑑みて、十分な経験を得たと当該施設の管理者が判断できることは必要となる。
問33 はり師・きゅう師を機能訓練指導員として雇う際に、実際に、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で六月以上機能訓練指導に従事した経験を有することをどのように確認するのか。
(答)
例えば、当該はり師・きゅう師が機能訓練指導に従事した事業所の管理者が書面でそれを証していることを確認すれば、確認として十分である。
解説
「6ヵ月以上の要件について、実務時間・日数や実務内容に規定はあるのか?」との問いに対し、「細かく規定しない」と明記。「そのはり師・きゅう師が機能訓練指導員として実際に行う業務の頻度・内容を鑑みて、十分な経験を得たと管理者が判断できることは必要」との認識だけ示しました。加えて、「新たに雇う際に、6ヵ月以上従事した経験があることをどう確認するのか?」との質問にも回答。「例えば、そのはり師・きゅう師が働いていた事業所の管理者が書面でそれを証していれば、確認として十分」と記載しています。ここでいう機能訓練とは、平成11年老企第25号第3の六の1(3)の利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練です。つまり、はり師・きゅう師の有資格者でなくても6ヵ月以上従事した経験にカウントされます。また、実務時間・日数や実務内容に規定はなく、事業所の管理者が書面でそれを証していれば良いという、実に曖昧で寛容なものです。
それなら、鍼灸専科の専門学校は、学生の実習施設に6が月以上、特別養護老人ホームや通所介護に週2〜3回通わせてはいかがでしょうか?卒業して、はり師・きゅう師になったら就職先が広がります。特別養護老人ホームや通所介護は慢性的に機能訓練指導員不足なのです。私は、鍼灸師の機能訓練指導員が広がれば、いずれ、鍼灸施術が機能訓練として認められる時代が来ると考えています。そして、鍼灸師が開業する通所型サービスが新しいスタイルの治療院になることを夢見ています。
【参考】平成11年老企第25号第3の六の1(3)
機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とする。ただし、利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、当該事業所の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない。

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