ライブハウス南豆製氷プロジェクトでは広くマンスリー・ライブの出演者を募集しています。音楽ジャンル、プロ、アマチュア、カバー、オリジナル等問いません。また音楽以外も、映画、演劇、舞踊、詩の朗読、マルチ・メディア・イベントなど、この場所にリスペクトを寄せる総ての表現者をサポートします。
南豆製氷は設備のゆきとどいたコンサートホールではありません。しかしイベントスペースとしては、風合いのある自然素材で構成されステージと観客の一体感が保ちやすい適度な広さの空間だと沢山の人が認めています。今後まず建てる事はできない伊豆石の壁に囲まれたこのような空間は、一般的なアミューズメント施設では不可能なのです。ですからなんとか現状の雰囲気のままでの有効利用を考えています。
しかし最新のライブスペースのように、空間を生かす音響設計がなされ空調設備も完備し、トレンディなフードとドリンクメニューが並び百戦錬磨のイベントスタッフがサポートする「箱」と、まったく別の目的で建てられ使われて老朽化し、駐車場用地のために買い上げられた土地に建つ廃屋の空間を同列では考えられません。
またこのプロジェクトは、南豆製氷の現在の持ち主である下田市商業協同組合様の寛大なバックアップ無しには考えられず、また北側アーチ型開口部の新たな木製扉や会場となる機械室の仮設ステージの設置、観客用の折りたたみ椅子の貸与など、そして南豆製氷応援団の方々の粘り強い活動と、たくさんの皆さんの好意と熱意の上で成り立っています。しかし、現状ではまだ石に囲まれた古い作業所跡でしかありません。ですからそのような場所での定期イベントとなると、ブッキングの調整、ポスター、フライヤー、チケット、プレスリリースの制作と配布などの通常のライブハウス業務に加え、当日ボランティアの手配、イベントごとの関係諸団体との折衝、音響照明機器の手配など専任スタッフの日常的仕事量は増えるばかりです。そこをご理解いただきこのマンスリー・ライブでは、1回のイベントにかかる最低限の経費(電気代、灯油代など環境整備費、音響照明費用、フライヤー、チケットなどの印刷費、会場維持のための雑多な消耗品費など)だけは出演者の方にチケットノルマという一般のライブハウスと同じシステムで集客にご協力いただき、定期的に開催してゆきたいと考えています。ノルマというだけで、知名度や集客力の十分でない表現者に時間を買わせるというシステムに抵抗感を感じざるを得ない方もあるかと思われます。しかし、いろいろな表現ジャンルや手法が交差する現代、玉石混合の中から次世代へ繋がる新たな表現出現の可能性に門を広く開けながら適切な表現の場所を維持するためには最前の方法だと思わざるをえません。そしてそのような目的のスペースとして、うってつけなのが南豆製氷だと考えています。
ですからチケットノルマとは言っても、都会のライブハウスのそれとは意味合いも違い、当然負担金額も最低限ものを考えています。また地元高校生の出演者には、音響技術を中心としたイベントスタッフの育成、および将来本格的なライブハウスやイベント出演時に必要となる、現場スタッフの役割とセルフプロデュースの理解の為の実地指導を兼ね、PA機材の搬入搬出や会場設営などのサポートをお願いし、その分のチケットノルマの軽減を考えています。また会場はバリアフリーにはほど遠く、木造部分など老朽化の激しいところなど年配の方や小さな子供達には危険な場所もあります。出演者、観客の方にはそこをご理解いただき野外イベントなどと同様に、進んで弱者をフォローする気持ちと自己責任での行動意識を持って臨んで頂けたらと思っています。このイベントの成否はこのような観客皆さんひとりひとりの意識、そこにかかっていると言っても過言ではありません。安全性が完璧に確保され、至れり尽くせりでラグジュアリーな空間への補修改築とその維持には膨大な費用がかかってしまうのです。ここが既成のイベントやコンサートとは一味違うところだと思っていいただけたら幸いです。また近隣にお住まいの方々にもご理解を仰ぎ大音量の演奏は夜8時迄をめやすと考えています(底冷えを歓迎する製氷所跡に広さに見合った暖房器具も足りないので、事実上冬は夜間の開催は辛いと考えています)。また敷地内にトイレ設備もなく、隣の下田市商業協同組合経営の駐車場の施設を使わせて頂いています。・・・いろいろな制約はあれ、私たちはこのようなローカリティや経済状況を新たな表現空間の特性としてとらえ、逆に表現に生かすことはできないかと前向きに考えています。その方向性は小規模ながら、同じ人が集まる場所とはいえ万人向けのテーマパークやショッピングモールのイベントスペースなどとも必然的に違ったものになります。出演者、観客および近隣にお住まいの方々にもこのproject-N(ライブハウス南豆製氷プロジェクト)のある意味での特殊性をご理解いただきご協力をお願いしたいと思っています。

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