我々サッカーの指導をする者としては、ご家庭が理解してくれて、我々の考えに共感を抱いてくれるということが望ましい。
ただ、すべてにおいて我々の思いどおりなんてことはあり得ないし、違う考えを述べていただいたほうがこちらも議論の中からより成長できる気がする。
ただ、たとえば食事をきちんとしようとか、入浴後や就寝前にストレッチをしようとかは家庭でしかできないことなのでできれば当たり前のこととしてご家庭で指導していただきたい気がする。
こちらとしては比較的当たり前のこと、常識的なことを要求しているのであってそんな突拍子もないことは言っていないはず。
世間の常識から外れた要求などはしていないし、当たり前の教育をしていらっしゃるご家庭であればこちらの指導の際に、何ら困ることはない、男の子に関しては。
女子の選手に関してひとつだけ社会通念上の常識とサッカー選手に対する要求との食い違いがある。
女の子をお持ちのご家庭なら、年頃の娘が家で大股開いてテレビを見ていたり、食事のときに足を開いて食べていたりしたら、
「足を閉じなさい!」
といったことを言うであろう。(最近はあまり言わないかもしれないが)
椅子に腰かけるときに、女の子は足を閉じなさい、電車やバスの中でも足を開かない、そんな指導をしているご家庭が多いはず。
女の子は足を広げてははしたない、当たり前の日本の文化で、それに関しては何の違和感もないし、我が家でもそうである。
女子の選手を見ていると、走る時にも小股でちょこちょこ走る選手、サイドステップを踏む時に、大きく足を開いて踏み出せない選手が多い。
足を広げるという行為に恥ずかしさを感じている部分があるようだ。
小さい時から刷り込まれていると、サッカーのときだけは切り替えて考えましょうとはいかない。
ご家庭での教育が行き届いているほどこの傾向が強いかもしれない。
すべての選手に対して、サッカー選手である前に、一人の人間であること、人間としての成長を求めている。
女子選手に対しても、サッカー選手であると同時に、一人の素敵な女性になってほしいと思っている。
だから、この問題は今の私には結構大きな課題である。
ご家庭での躾がきちんとしていることがサッカー選手としてのネガティブな部分を作り出しているなんていうことは男の子の選手だけを見ていたら気付かなかったはず。
要は気持ちの切り替え、この場面とこの場面はこのように使い分ける、といった考え方ができればいいのであろうが…
文化に基づいた躾と、サッカー選手としての質の向上。
最後はどちらを優先するかということなのだろうが、なんとか両立できないものか。
相反することだが、うまい方法を模索していきたい。

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