夏休みに大事な孫姫さまをお迎えして、さ〜てどうするか
「回転寿司でも行くか〜?」と声をかけると
「いくいく、」間をおかず、返って来る言葉に、淀みはなかった。
どんどん逞しく育っていく過程で、一緒に何かすることが
難しくなった。
世代を越えて、繋がるものの一つが回転寿司であった。
贅沢を許せない耐乏生活で育ってきた我々世代には寿司は高値
の花、贅沢品であった。
それが、鮮度の高い材料とも併せ、高度な技を背景に職人の手に負う
所からどうしても、高値は当たり前であった。
そんな、職人プロが回転寿司では目の前から完全に姿が見えなくなって
しまった。
ループ状のレールを通じて、載せられた食材が、テーブル
に用意された端末を操作し、 注文すれば、それほど待た
ずに手許にやってくる。
レールを通じてテーブル・カウンターと目に見えない裏方
が意のまま動いてくれる
その裏方が客の意を受け、判断し、にぎり、皿に載せ、
客席までの搬送を機械がやってのけ、徹底的なコストダウン
が叶えられたのであろう。
こうして、我々が手の届く 廉価な寿司が実現するのであろ
うか・・・。
<早速、寿司屋へ向かう>
連日の猛暑の中、外は容赦なく照りつけるお天道様に少しでも
涼気をと鬱蒼とした 樹木のトンネルの公園の急階段を登っていく。
温度が高く成りすぎると蚊の活動も止まると言われるが、此処では
美味しい獲物に容赦なく、襲撃された。
急階段の通り道は整備され、こんなに広い空間をもっているが、
両脇はご覧の通り、笹藪の中、蚊の温床地帯であった。
トンネルを出て、広い通りに出る。激しく行き交う車両の向こう側が、
目的のお店である。
『は』の屋号の看板は遠目にも、その存在を確かめられる。
看板の姿が目の前に見え、ホットさせられる。
日陰無く焼けつくコンクリートに容赦なく、照りつけ、猛烈に暑い。
店に入り、ガンガン効いた冷房にほっと一息付ける。
入り口には胸に端末を下げた、ロボット君が待ち受け、出迎えてくれる。

真ん前の長椅子には次から次ぎへと来店する客を前に、空席を
検出し、次々と案内する。端末を操作すると端末から発券が出てきて
その券を持って、指定の席に向かう。その間、人を介さず、ロボット
と向き合い、一対一である
ロボットの背後にカウンターがあり、食事が終わった客が列をなし
精算を済ます。
1名のロボットと2名の係員のチームで広い店内の多数の来客
の出入り、精算を見事に裁いている。
「さ〜て、何にするかな〜」

眼の前のタッチパネルでそれぞれ、寿司も握り、巻物、飲み物、
レザートなど種別単位で階層化され欲しいものが注文出来る。
スマホで既に日常、使いこなしている孫姫さまも、タッチ操作
も鮮やかに、欲しいものを次々に選び、注文していく。
注文後、間もなくタッチパネルから、運ばれる注文品の画像と
音声が間もなくやってくる旨の案内が強制的に流され、画像と
比較しながら、注文品を受け取ることが出来る。
取り損ねがないように、タッチパネルで他の操作中でも、強制的
にこの音と画像のメッセージが優先され、心憎いまでも、注文品
が送り届けられている。
こうして次々に注文、皿の枚数は積み上げられる。
思いつくままに注文し、タッチパネルで注文品の搬送済み、準備中
の状況がリアルに表示される。

一通りのものを腹に修め 最後は『閉め』はどうするかな?
『閉め』の言葉に、驚き、完全に我が世の世界であった。
マヨーネーズが添えられたお好み焼き、シュートケーキまで、
ペロリと凄い食欲の前に逞しく収め、ご満足の様子であった。

程々に食べ、係員を呼び出し、皿の種別、枚数で精算し
伝票が打ち出される。
眼の前の皿に載せられたの寿司や注文品の裁き、この究極の自動化、
省力化が正に客の回転をも含めて、見事に廻っている。

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