
『白雲なびく駿河台 眉秀でたる若人が 〜 文化の潮みちびきて
遂げし維新の 栄になう おお、明治、その名ぞわれらが母校』
マンドリンのスタッカッートとトレモロが奇麗にホールに響いた。
山田耕筰の作曲によって誕生した明治大学を讃える、あの馴染み
の明大校歌でオープニングする。
ざわついた観客席が幕開きに、暗めのステージにスポットライト
を浴びた演奏メンバーの奏でるサウンドに集中する。
ステージには詰め襟、今では類稀な全員真っ黒の髪の毛、日本の
伝統文化を大事に守る清楚な姿がまぶしく新鮮に目に映る。
此処、改装されて間もないたましんRISURUホール(立川市市民会館)
で明治大学マンドリン倶楽部の立川演奏会へ行ってきた。
場内は既に満員、人気の高さが伺える。周りを見ても殆ど何処も、
かしこもかってのお姉さん世代が8〜9割り方、席巻している。ご自
慢の孫が丁度高校・大学生位の世代で忘れかけた青春を一生懸命
追いかけているようにも見える。
ラデッキー行進曲や新世界などのセミクラシックから、始まり、
当マンドリン倶楽部の象徴的存在の古賀メロデーなどが矢継ぎ
早に披露される。
三味線に見立てて、マンドリンソロの演奏による、津軽組曲が
哀調を帯びた独特の音色の弦裁きに、引き寄せられ、感極まり、
万来の拍手が会場をかきたてる。
多少かしこまったセミクラシックから、屋台の縁台で一杯飲み
ながらの赤提灯の演歌など幅広い世界に、品よく心地よく運ん
でくれる。
最後はCeline Dionの歌いまわしメロデーがマンドリンの世界
のあっと言う間の2時間余りの世界であった。
ふっと、現実の世界に帰って、耳鼻科の検査で難聴気味を診断
された。
音に対する聴覚に対して、1000hzは正常であるが、4000hzは劣
化している旨の悲しい宣告を言い渡された。
通常の会話は4000hz以下なので、差し障ることは全くない。
加齢によるもので現代医学では治療することは難しい。
そんな専門医の宣告に、こと幅広い音域の音楽会に、どう影響
するのかの、試聴でもあったが、感じ方の世界に不自然なこと
もなく、楽しめたことが何よりであった。

0