
ますます進化するスマホにパソコンが覗ける世界をも取り込んでしまっている。
待合に、雑踏に、電車内に、この小さな機器に、取りつかれ、一生懸命操作する姿が当たり前のように行われている。
小さな画面とのやりとりが、大事なようである。
近くのJRの専用軌道
南の向こう側に行くには踏切越えが必要
運よければそのままスルー、悪ければ切れ目なく上り、下りの車両の通過を忍耐強く待つしかない。
切れ易いご時世に、待つ事の出来ないご仁は竿を持ち上げ、潜り抜けるのも時には居る。
そんな踏切で、なんとなく黒っぽい手帳サイズの大きさの物体が置かれているのに気づく。
良く見ると、スマホである。
降りた遮断機の前、ふと置いたまま、放置されてしまったようだ、持ち主が探し求め、直ぐ回収するだろうからとそのままにしておいた。
踏切の向こうで用事をすまし、再び、回収されたか気になりながら踏切に戻ったが、スマホがそのままであった。
そのまま放置しても良かったが、悪用される可能性も考えられ、
ここは見逃せないと取り上げ、近くの交番に持って行くのが、ベストと思った。
交番に持って行く過程で「ブルブル」と着信音、確認するまでもなく、ちゃんと動いていることを確認する。
主の居ない間の、呼び出し、早く持ち主に渡せればと、駆り立てられた
交番で早速、拾得の受け渡し。
応対は若いテカテカの警察官であった。
拾得の時刻と場所の確認だけの簡単な確認であった。
最後に「お礼はいりますか?」
「否、無用」・・・お礼欲しさに届けるものではないが、早く持ち主に戻れば届けがいもあるが・・・。
その間、拾得物の何か記録でも残すものと思ったが、何も無かった。
「はい、どうも」てな感じの扱いであった。
名前も何も聞かれず、あっさりしたものに、面食らった。
そこらに落ちたものを拾い上げ、ぽいと受け渡すだけの、ことしかなかった。
落とし主を考え、わざわざ、届けに行ったのに、その軽々とした扱いに、本当に届けられるのか、とさえ思ってしまった。

0