
「おのれ妖怪め!!」
「手塩にかけた『ぶどう』棚に、何時の間にか入り込み、枝、始め葉っぱを食い荒らす、不届き者め」
妖怪めがけて、棒の殴打に、敵も必死に、棚上の枝に必死にしがみつく。
とうとう観念したか、ボタッと目の前に落ちる。
うわ〜気持ち悪いと思いつつ、成敗する。
時ならぬ妖怪の姿に1去年に続き、食い荒らされた宿敵の再来かと思いつつ
妖怪の姿をデジカメに納め、勝沼のブドウプロの、お師匠さんに、画像を送り、果樹側の対策処置の指導を仰ぐ。
こんな妖怪姿に、昆虫図鑑でも見ないと、果たして判るのかと思ったが、流石プロ、こんな回答が返ってきた。
『クビアカスカシバ』の幼虫。
・7月上旬〜8月上旬に発生。成虫はスズメバチくらいの大きさで動きはそんなに早くない。
・成虫は木の表皮の隙間に卵を産み、卵が成長する段階で木の周囲を食べる。
・食べまわされた枝は枯れる、木の根本も要注意。よく木を観察して捕殺するのが一番。
ブドウは成熟してきた。
食べごろをそろそろ迎える時期に出来れば、もう農薬は使いたくない。
以来、殺虫捕縛隊は妖怪の姿を追って、敵の侵入に目を光らせた。
幸いにして、妖怪は恐れ、再び見ることは無くなった。

しかし、葉っぱがの枯れが、ドンドン広がってくる。
葉っぱは茶色に変色し、枯れだし、根元から落ちてしまう。
妖怪の恨みの、おきみやがであろうか?

その間、ブドウが目に見えて熟成し、真っ白い袋の内側で、いよいよ黒く、なってくる姿が伺える。
天候が良いと、夕方、棚の下は風に乗って、甘い匂いが、立ち込める。
この甘い匂いが、この糞暑い、天候の夏の成果である。
熟成の進行に毎日、ブドウ棚の下に訪れ、フクロの中身を楽しみに、覗き見は日課になってしまった。
もうすぐ9月。カリン姫、アカリ姫が集まって、今年は地産地消が出来そうかな・・・。
この匂いに寄せられて、人間ばかりか、虫は元より、鳥までが嗅ぎつけてくる。
苦労して育てた青果だけに、敵には、譲らんぞ!!

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