スカイマークが中古機を導入した際、外板の完全補修対象(小さな凹み:デント)を応急補修のまま放置していました。これは縁の下を支える整備士への待遇など、マネージメントの問題が主ですが、・・整備陣にも材料工学に関する基礎知識が欠如していたのでは?。。
アルミ缶オバケのようなものに 6 cm x 1.5 cm 程度の凹み(デント)ができたところで、其処が長崎ビードロのようにペコペコしたり、その周囲に亀裂ェ入ったりするの? 外から補強パッチを当ててリベット止めしておけば、1万回くらいの離着陸では大丈夫と考えるのも人情・・・・。わかる気がする。
ところが,超々ジュラルミンは普通アルミの5倍硬く、10倍以上強い代わり、その分、
弾力性(伸び)が 1/3==
脆くて!、腐食に弱い。高強度材料を使った圧力容器や構造体を扱う者にとって、デントなど
不連続部分と、腐食問題は最大の関心事なんです。。。
(以下、いつも通りの個人的備忘録)
蛇足−1: 内圧(引張)力に耐えるアルミ外板の最小必要厚さ
飛行機の外板に使われる超々ジュラルミン(アルミ合金 A7075)は、Zn を含み、溶接接合ができないので、内隔に設置された(下図灰緑色)円環状リブと、(縦リブ)とに「リベット」で取り付けられています。板の厚みは、「内圧強度」のほかに「応力集中」「曲げ」「捻り」など「積載容器」としての憂鬱な計算や、リベット効率 :η とから計算され、最終的に多分「1〜2ミリメートル」の・筈。
試しに、胴体断面が「真円」だと仮定して、内圧を支えるに
必要な外皮アルミ板の最小厚さ t を ごく簡単に計算すると
以下のようになります。< B767の例 >
胴体の直径 : D = 5.0 m ( 正確には幅5.03x高さ5.41m)
高度10,000m での 内圧(外気との差圧): P =0.03MPa
アルミ板の材料強度(設計強さ): σy = 500 N/mm2
t = D x P/σy x η x 1.5 (安全率)
= 5 x 0.03/500 x η x 1.5
= 0.00045 m x η = 0.45 mm x η
η : リベット効率(補正係数)
たしかに、デントがなく・圧力繰り返しも なければ「紙のように薄いもので十分」なのですが。。
蛇足−2: 使用材料の比較 (2006/1/5 附 参照)

1) 木材は比重が軽いので、結果「比強度」は高いが、繊維と直角方向には弱い。
2) A6061-T6 はT4の3倍強く、鍛造・切削成形後、表面をショットブラスト硬化させ、プロペラに。
3) 超々ジュラルミンは今でも航空機表皮材の主流。
4) 6Al-4Vチタンは表面温度が200℃〜400℃になる高速機に使われる。
5) CFRP(カーボン補強樹脂)は製造方法が進歩(安定)し、旅客機にも使用され始めた。
6) ニッケルクロムモリブデン鋼は絶対的強度と靱性があるので、衝撃強度が必要な脚・支柱
に使用される。 脚柱は「型鍛造」「旋盤」「フライス」などの機械加工の他に
「侵炭・窒化・ショットブラスト」など表面を更に硬くする工程や、
シリンダ/ピストンの擦れる部分は「硬質クロームメッキ」「研磨」の工程を経て、完成する。