ポルトガル語でfrançaには「洒落者」という意味がある。
だがこの日のフランサは、俺の目には洒落者にも魔法使いにも見えなかった。
寧ろ、人間としてのフランサが見えてしまった。
体調が整わず、途中出場。
だが相手の密着マークに遭ったせいもあり、「魔法使い」と言われる所以の絶妙なパスが出来なかった。
フランサは消えていたも同然だった。
マークの受け渡しが曖昧になり、自陣内でボールを回される場面が目立つ。
「そろそろヤバイ」と思った頃、逆転ゴールを許してしまう。
ロスタイム突入直後の出来事だった。
あまりにも絶望的な時間帯での失点。
相手選手は当然、コーナー付近をトリブルして時間を潰しにかかる。
そこでボールがキーパー菅野に渡る。
ゴールキックが味方を経由し、相手ボックス前のフランサにボールが飛んで来る。
もういつ試合終了の笛が鳴ってもおかしくない。
こういう場合、俺だったら迷わずボレーでシュートを撃つだろう。
可能性の大小は別としても。
これで失敗しても、撃たずに負けるよりずっといい。
俺が思った通りの事を、フランサはやってくれた。
思った通りを実行出来るのはフランサなればこそ。
土壇場で大仕事をやってのけた。
このプレー自体は、非常に高度なものである。
フランサの技術は、Jなら最高水準だろう。
サンパウロでもレバークーゼンでも活躍出来たのが納得出来る。
だが最後のワンプレー、そしてその後の喜び方は、いつもの洒落者のフランサのものではない。
いつもなら針の穴を突く様なパスを出している所だったし、シュートを決めたら首を左右に振って、お洒落に拘るのが常なのだ。
だがこの時ばかりは、レイソルサポーターの前に駆けて、ただただ絶叫。
咆えて咆えて咆えまくっていた。
この姿に、素の1人の人間としてのフランサを見た気がした。
こういうフランサを、改めて俺は気に入ってしまった。
思えばドイツで華々しく活躍していた時期、妻子が母国に帰って離婚するという、非常に辛い経験をフランサはしている。
だからこそフランサにとって大事なのはお金より愛であり、「不可能は無い」と信じずにはいられないのだろう。
諦めてなるものか。
その姿勢があのゴールを産んだ。
柏バカである限り、この試合は語り継がれるものになるだろう。
■J1第20節(8/9)
柏レイソル 2 – 2 浦和レッズ
@埼玉スタジアム2002
■J1順位表
(20節終了/全34節実施)
1.鹿島アントラーズ 35
2.浦和レッズ 34
3.名古屋グランパスエイト 33(得失点差+6)
4.川崎フロンターレ 33(得失点差+5)
5.大分トリニータ 32(得失点差+6)
6.ガンバ大阪 32(得失点差+3)
7.柏レイソル 31
8.FC東京 30
9.ヴィッセル神戸 29(得失点差+2)
10.アルビレックス新潟 29(得失点差-7)
11.東京ヴェルディ 27
12.大宮アルディージャ 26(得失点差-2)
13.京都サンガ 26(得失点差-5)
14.ジュビロ磐田 24(得失点差-3)
15.清水エスパルス 24(得失点差-5)
==============入れ替え戦出場圏==============
16.横浜F・マリノス 22
===============J2自動降格圏===============
17.コンサドーレ札幌 16(得失点差-14)
18.ジェフ千葉 16(得失点差-19)
(8/9現在)
「最後まで諦めない」
北京組にもこの姿勢が有ったらなと思うと、残念でならない。

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