「イギョラ、イ・チュンソン!」
レイソルの試合の日に、必ずスタンドに掲げられる白くて長い布。
在日韓国人の有志が作ったその横断幕に、ハングルで大きく赤く書かれた文字である。
「イギョラ、イ・チュンソン!」
父の家系も母の家系も韓国系。
チュンソンは今でも父の事をアボジと呼ぶ。
そんなチュンソンは韓国風味溢れる家庭で育った。
生まれも日本。育ちも日本。
他の日本人と比べても遜色無い程、流暢に日本語を話す。
そんなチュンソンは日本文化溢れる環境で育った。
世代別韓国代表候補に選ばれた事すらあるチュンソン。
「GO」の主人公を彷彿させる、負けん気の強い在日の男。
そんな彼は、太極旗ではなく日の丸を背負ってピッチに立つ事を選んだ。
そしてチュンソンは北京五輪の候補選手に正式に選ばれた。
勿論、ただ選ばれたに過ぎない。
まだ何も始まっていないし、まだ何も終わっていない。
選考メンバー入りは目的地ではなく、単なる通過点だ。
チュンソンには大仕事が待っている。
チュンソンが強く強く晴舞台を望んでいるのは、俺にも分かる。
ならば納得行くまで暴れて来い。
出場停止処分を食らったらゴール裏で陣頭指揮を取っちゃう様な、熱い奴。
フランサダンス、カズダンス、ビスマルクポーズ等、他の選手の十八番で自分のゴールを祝う様な、憎めない奴。
一瞬たりとも闘志を忘れない、愛すべき柏バカのチュンソン。
身も心も真っ黄っきの柏バカが、今日もチュンソンの白い横断幕を掲げる。
それに大きな赤い字で書かれたこのメッセージは、そのまま俺達柏バカの魂の叫びだ。
「勝て、イ・チュンソン!」

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