フランサが来週中にも来日を予定している。
素晴らしいニュースだ。
ここ最近、目や耳を塞ぎたくなる事ばかりだっただけに。
さて、何故フランサが骨折の治療の為に2度も遠いブラジルまで行ったのか?
この行動は、別にフランサだけの事ではない。
怪我したブラジル人選手なら、誰もが選ぶ行動だ。
ブラジルのクラブでのリハビリの技術は非常に高い。
これはブラジル人選手にとっては常識だ。
負傷したブラジル人選手は、普通はブラジルの古巣のクラブに飛び込み、そこで治療を受ける。
受け入れるクラブ側も「困った時はお互い様」の精神で臨む。
そこで治療費を取ったりはしない。
勿論フランサも例外ではない。
ロナウド(ACミラン(イタリア))みたいに日本以外でプレーしている選手ですら、ブラジルでリハビリを行う(手術はパリで実施した)。
ただ彼の場合、引き続き
「人生最大のミス」を起こしてしまったが。
勿論、日本にも優秀で懸命なチームドクターはいる。
日本人選手なら、誰もが日本人の医師に怪我の治療を依頼する。
俺は彼等の努力や功績を否定するつもりは無い。
限られた枠の中で、彼等は非常に良くやっていると思う。
実際に治癒し、元の輝きを取り戻した例は幾らでも有る。
だが医療の分野では、日本は決して先進国とはいえない。
裏付ける実例は幾らでも有る。
欧米で古くから行われていた医薬分業。
日本でこれが根付いたのは十数年前。
それまでは病院から貰った薬の成分を確認するすべすら無かった。
ハンセン病を引き起こす病原菌の感染力は非常に弱い。
これはずっと昔に科学的に証明されている。
外国で羅患者を隔離する場合は稀。
だが日本では、ハンセン病に羅かったらすぐに施設に閉じ込められ、一生そこから出られなかった。
終生隔離を法律で廃止したのは、つい最近だ。
「世界百五十数ヵ国で承認され八十数ヵ国で用いられている新薬が、我が国でも認可が下りました」
新薬のお決まりの謡い文句だ。
つまり医療開拓という意味では、日本は百五十数番目の国だという事になる。
何故こんな事になるのか?
技術者を正当に評価する仕組みになっていないからだ、と俺は思う。
国内の製薬メーカーAが、新薬Xを開発した。
そこに勤務していた或る研究員が退社し、外資系メーカーBに転職し、Aに対して裁判を起こした。
研究の正当な対価を受け取っていなかったからである。
Xは結局、AとBの併売の形で新薬になった。
経営難に喘ぐ病院が相次ぎ、過労死寸前の医者は多い。
今、麻酔技師や産婦人科の医師の数が不足しているという。
ミスが刑事訴訟や資格取り消しに発展する程、責任の重い仕事なのに、労働環境が過酷だかららしい。
全てとは言わないが、日本の研究開発の舞台はコネや派閥だけで決まっている様に見える。
競争が健全に行なわれている風に思えない。
モノを産み出す舞台裏がそんなんで、どうして発展するのだろう。
Jリーグのクラブがブラジル並みにリハビリテーションを充実させようとしても、壁にぶつかるだろう。
法律面での壁だったり。医療界の力関係の壁だったり。
川崎フロンターレの我那覇のドーピング提訴の件も、案外この辺に原因が有るのかもしれない。
レイソルのボスは理学療法に強い関心が有るという。
良い部分を取り入れる。
この姿勢を持つのは良い事だと思う。
さてフランサの古巣のクラブはサンパウロFC。
昨年11月に骨折し、その直後に古巣に駆け込み、リハビリに励んだ時期が有った。
フランサ・ダンスを踊るマルコ・アウレリオ・クーニャ(サンパウロFCのスーパーバイザー。レイソルの元監督とは別人)のすぐ横に、松葉杖を抱えた普段着姿のフランサの笑顔が有った。
雰囲気はとても明るかった様だ。
こういう場合、送り出すクラブ側が懸念しただろう事は――。
「行ったきり帰って来ないのではないか?」
今オフに元・鹿島アントラーズのファボンが怪我の治療でブラジルに行き、そのままサントスFC(サンパウロ州のクラブ)と選手契約したゴタゴタが有ったばかり。
チャンピオンズリーグの南米版であるコパ・リベルタドーレスが3月から本格的に始まっている。
古巣がリベルタドーレスに出場するクラブの場合は、特に注意が必要だ。
戦力充実や過密日程対策の為に、国外の選手に白羽の矢を向けるのが常だからだ。
サンパウロFCもサントスFCもリベルタドーレスに出場している。
今回フランサが古巣に移籍する可能性は無い、と俺は思う。
第一フランサはサポーターに不義理を働く奴じゃない。
移籍する気なら、普段着ではなく練習着で写真に納まっている筈だ。
しかもフランサのポジションにはアドリアーノがいて、リベルタドーレスでしっかり点を決めている。
フランサの骨折部位は第五中足骨。
非常に細い骨であり、魔法を掛ける大事な場所だ。
そんな所が折れたら、暫くは走ったり跳んだりは無理。
だから春に帰国した時に、おなかが膨れていたのだろう。
その後のリハビリで、おなかはすぐに引っ込んでいる。
来週に帰って来る時、臨月になっている訳ではないだろう。
フランサの気持ちに嘘は無いと信じている。
フィジカルコンディションを整え、早ければ5月17日の鹿島アントラーズ戦に出場出来るという。
来たれよ、魔術師!

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