カウンターというお家芸を何度も何度も繰り広げるバーレーン。
ただボールを回そうとしているだけの日本。
そしてただ、試合に負けた。
これは、非常にまずい。
もし審判がハンドを取っていたら、あそこでの失点は無かったかもしれない。
解説者はやたらと「ハンド!」と言ってたが、そこまで判定基準を厳しくした場合、前半36分の安田のボックス内でのミスから、PKで失点していただけなのだ。
ハンドを取られなかったのが敗因だと、この解説者やサッカー関係者は本気で思ってたのか?
めでたいぜ。
釜風呂の水に漬かった蛙。
釜が火で温まり、水がぬるま湯になる。
蛙にとっては、いい湯だな。
やがて火が通り、気付かぬ内にぬるま湯がホントのお湯に。
意識不明になった蛙は避難する事を忘れる。
茹で蛙の一丁上がり。
今の日本代表の取り巻きが、茹で蛙に見えてならない。
水がぬるま湯に変化したら、釜から飛び出せばいいものを。
それは立派な異変なんだからさ。
この試合、最初から失点の場面までバーレーンに支配されていた。
バーレーンの選手は、なりふり構わず自分達のサッカーを遂行していた。
日本の選手は、綺麗に、ただボールを回そうとして、後手に回っていた。
上手い下手ではない部分が、日本には欠落している気がする。
今のままでは、ワールドカップに出られない。
今から11年前。
「翼をください」がスタジアムで鳴り響いていた。
日本中がワールドカップに飢えていた。
ストライカーとして腑甲斐なかったカズの乗るバスに、サポーターは容赦無く生卵をぶつけた。
本戦出場が困難になった状況を受け、最終予選半ばで加茂周が監督職を更迭。
「このままじゃ日本に帰れない」
そこまで追い詰められていた岡野が、中田英寿のシュートのこぼれ球をゴールネットに押し込み、初のワールドカップ出場を決めた。
「ファイトしない奴は使わない」
その後も監督の岡田武史は、そう言って闘志を植え付けていた。
「遠慮する暇なんて、ピッチには無い筈だ!」
A代表としては新人同然の中田は、そう怒鳴って回りを鼓舞していた。
そしてこれまた新人同然の川口は、最後尾から味方を叱咤し続けていた。
その仕事に対する徹底ぶりを煙たがる様子は、少なくとも回りの選手からは感じられなかった。
確かに下手だったかもしれない。
だがあの頃は、勝利に対して純粋で貪欲だった。
本戦では3戦全敗という残念な結果に終わるも、内容は初出場にしては上出来だった。
中山なんか、骨折していた足をフル稼働してゴールを決めていた。
サポーターはサッカーバーを埋めたりして、日本代表への応援を惜しまなかった。
その一方で、結果の出なかったフォワードに空港に水を浴びせる等、厳しさも忘れていなかった。
まだJリーグは出来たばかりだった。
プロ野球以上の物を作り上げなければ、数十人しか観客席にいなかった頃に戻ってしまう。
選手自らが、仕事の同僚に試合の入場券を売っていたあの頃に、戻ってしまう。
Jリーグ全体が、そういう危機感に満ちていた。
2年前、中田は相変わらず闘志の重要性を訴え続けていた。
にも拘らず、チームと中田やジーコとの間には、広くて深い溝が出来ていた。
「中盤のカルテット」と呼ばれる史上最強の顔触れでワールドカップに臨んだ。
だがちぐはぐな場面ばかりが目立ち、勝利を上げられなかった。
それどころか自滅型の試合ばかりが目立った。
俺は不安に駆られた。
今のままでは次は無い。
今のままでは、南アフリカのワールドカップに出られない。
いろんな意味で消耗した中田はワールドカップのピッチに倒れた。
その直後、現役引退を発表した。
日本代表には、いや、日本サッカー界には、世界と戦う上で致命的な問題点を放置している気がしてならない。
今の日本代表は、俺が見た限り、ドイツでのそれと何も変わらない。
意見しようとしていない。
腹を割って会話しようとしていない。
楽したい。でも金儲けはしたい。
設備投資なんか手間暇かかる。メンドクサイ。
たとえまがい物を作ってでも資産を殖やしたい。
そう考えた役員は、職人気質のサラリーマンをリストラする。
再就職の厳しい現状を目の当たりにすると、問題点が有っても意見なんか出来やしない。
そうなると派閥の力関係で全てを解決するしかなくなる。
好き嫌いが唯一の評価基準になってしまう。
俺が何度も目に耳にした構図だ。
そうして仕事の質が落ちていき、やがて産業が衰退する。
サッカーの世界も、こうなっていないだろうか?
意見イコール反逆行為。
そんな世界に進歩は無い。
退化する事は有っても。
ストヤノフ。ワシントン。アルセウ。フッキ。
この手の「うるさ型」の選手が相次いで退団している。
何れもちょっと前までは同じ日本で活躍していた選手達だ。
ワシントンなんか移籍先で大活躍している。
そして何れも意見提示を躊躇しない人種だ。
だがその意見提示がきっかけで、退団に追い込まれている。
自分のクラブを強くしたい。幸せにしたい。
そう思うからこそ意見もする。
黙ってばかりいるのは、怠慢だと俺は思う。
独裁者の社会で暮らしているならともかくも。
異論をぶつけあい、話し合う事から一心同体は産まれる。
問題点を感じても議論もせず、ただ上司に従うのは、一心同体ではなく、盲従でしかない。
1分け2敗。
2得点7失点。
2年前のワールドカップの失態で、日本代表の株は暴落している。
そう言い切れる根拠は幾らでも有る。
ドイツでの凡ミスをきっかけに海外のクラブとの契約延長を打ち切られた選手が出た。
今シーズンの開幕に照準を合わせた、ヨーロッパのクラブへの日本人選手の移籍はゼロ。
ここ最近、海外で組めた親善試合は、オシムの地元との対戦くらい。
外国からは日本は相手にされなくなりつつある。
「三浦カズは知ってるけど、今の代表は誰も知らない」
そう言う人が、どれだけ居るだろう。
2月6日。
ワールドカップの予選だというのに、埼玉スタジアムの観客席には空席が目立った。
4年前の全く同じ状況では超満員だった。
同じ埼スタを本拠地とするクラブが、同じ水曜日に行う国際試合は、常に満員だった。
今や合成写真でも使わなければ、満員の埼スタでの代表戦の絵面は作れない。
「代表離れ」のこの状況を、協会のスタッフはどう思っているのか?
「ワールドカップは普通に出られる」と本気で思っているのか?
客離れが続けば、海外どころか国内でも代表戦が組めなくなるぜ。
1度坂道を転げ始めたら、再び登るのは大変だ。
ACLが絡んでいても「ベストメンバー規定」を振り回すのが正義だと思っているのか?
他にする事が有るだろう!
トルコ。オランダ。オーストラリア。ウルグアイ。カメルーン。
何れもワールドカップ出場を逃した事の有る国ばかりだ。
今の調子じゃ、日本代表は、この中のどれにも勝てないだろう。
6月で予選敗退なんて事になったら、地獄が待っているだろう。
バスには生卵。
空港ロビーでは冷や水。
クラブハウスではブーイング。
家に帰っても石が飛んで来るかもしれない。
警察を呼んでも「予選で負けるのが悪い」と言われるだけ。
そんなの嫌だろう?
常識で考えれば、この敗戦は岡田監督の更迭問題に発展するだろう。
4年前の同じステージでは、6戦全勝だったのだ。
就任直後での更迭は抵抗が有るのなら、せめて代わりの監督候補をリストアップするべきだ。
でないと取り返しの付かない事になる。
代表に選ばれない大勢の人達に失礼になる。
何度でも書く。
今のままではワールドカップに出られない。
今のままではな。
今の代表に足りないのは、上手い下手の部分ではない。
事故に遭い、体の自由を失った人。
障害者として産まれた人。
家庭の事情で夢を諦めなければならない人。
世界に目を向ければ、難民キャンプでサッカーに出会った人。
ストリートチルドレンとして長年暮らした末、孤児院に収容され、そこでサッカークラブに入った人。
地雷で脚を吹き飛ばされても、残った脚と松葉杖でサッカーをする人。
薬物を売るマフィアの誘惑から目を引き剥がし、サッカーに打ち込む人。
目が見えなくてもピッチに立つ人。
そういう人の頑張りを、何と思ってるのか?
代表選手になりたくてもなれない人は、掃いても捨てても余る程いるんだ。
ピッチでの遠慮は、そこに立てない人達の努力を踏み躙る行為だ。
それが俺にはどうしても許せない。
ピッチに立てない人の分まで闘えよ!
自分の心だけは、自分で制御出来る。
心を強くするのは、選手にとって一番簡単な行為だ。
ピッチに立てない人の想いを無駄にするな!
■W杯アジア3次予選第2節(3/26)
日本 0 - 1 バーレーン
@バーレールナショナルスタジアム(マナマ)
■W杯アジア3次予選順位表
(2節終了現在/全6節実施)
1.バーレーン 6
2.日本 3(得失点差+2)
===============最終予選進出圏===============
3.オマーン 3(得失点差0)
4.タイ 0
(3/26現在)

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