地球平和の祭典、ワールドカップ。
W杯のアジア予選の中の、いや、全大陸で行なわれる予選の中の、間違いなく1番危険な試合が、間もなく行なわれようとしている。
アジア地区3次予選第2節。
北朝鮮 - 韓国
この2ヵ国は言わずと知れた分断国家である。
ホスト国の北朝鮮が、試合を行なうのに、国歌と国旗ではなく朝鮮民族の民謡である「アリラン」と朝鮮半島の統一旗を使用しようと提案していた。
これは何を意味するのか?
元は同じ民族で同じ1つの国だった。
それが今では社会の構造からして似ても似付かない、全く別々の国になってしまっている。
日本は平和国家である。
日本には、ここ数十年間、戦争が無い。
日本人が兵隊に取られる事は無い。
だが北朝鮮も韓国も平時の国ではない。
残念ながら朝鮮戦争は終わってはいない。
戦争を中断しているだけなのだ。
本来なら交戦状態にあるところを、一時的に休戦しているだけなのだ。
北朝鮮は「将軍様」という呼び名が示す通り、武力の国家である。
度重なるミサイル発射を否定しない程の「武」の国。
そして韓国人男性は、一定の年齢になれば、ほぼ例外無く2年、又は2年半の間、徴兵される。
徴兵経験の無い者を会社は相手にしないし、軍事訓練を受けなければ、男性は国外に出られない。
徴兵中の数年間の内に、カップルは大抵、駄目になるという。
それでも徴兵制度は無くならない。
平時の国ではないからである。
サッカー選手も普通は徴兵から逃れられない。
「尚武」という兵士のチームに所属してKリーグに参加する道も有るには有るが、希望者全員が入れる訳ではない。
漏れた者は、その数年間、サッカーから離れる事になる。
いつも身構えてなければいけない。
それが、この2ヵ国の現実なのだ。
徴兵制度だけではない。
シュリ。
脱北者。
拉致疑惑。
南北分断の悲哀・弊害は計り知れない。
「朝鮮は1つ」
韓国人なら、そう言いたくもなるだろう。
だが、韓国サッカー協会の人が、今それを前面に出したら、何が起こるのか?
北朝鮮は徹底した情報管理の国。
3年前に北朝鮮代表が日本代表に負けた事を、現地の人は知らない。
北朝鮮は拉致疑惑の絶えない国。
被害者と思われる人は、日本人より韓国人にずっと多いだろう。
北朝鮮と韓国は陸続きだ。
韓国代表として北朝鮮代表との試合を終え、北朝鮮から帰ろうとした時、ホン・ミョンボとファン・ソンホンは北朝鮮の関係者に拉致されかけたと言う。
そんな連中を相手に、向こうの要望通りに試合したら、選手の身に何が起こってしまうのか?
もしW杯予選としてではなく、南北統一の祭典の儀式として試合を開催しようとしていたとしたら?
それなら試合が終わって、選手がそのまま現地に留まっても、現地の人は納得する。
「同じ民族」なのだから。
たとえ一般常識では「拉致」と言われる形であっても。
たとえ数が少なくても、その少ない一部の人が泣き、他の人が喜んでいるというのは、真の幸せとは言えない。
韓国側が、北朝鮮側のこの要望を受け入れる筈が無く、2度に渡る話し合いは平行線。
FIFAの人が割って入って話を進める形になり、結局、国歌と国旗を使い、中国・上海で開催される運びになった。
ちなみに国代表の試合をするのに、国旗を掲揚し、国歌を演奏しなければいけないのは、FIFAの規定で決まっている。
ピッチで国歌を歌うのは、これが国代表の国際試合である事を、目撃者に示す為だと俺は思う。
「それ以外の何かである」と言わせない為に。
国旗掲揚は、儀式ではなかったんだ……。
たかがサッカーの試合をするのに、そこまで気を回さなければいけない究極のカードが、3月26日に行なわれる。
全ての人が助け合って幸せになる姿を、願わずにはいられない。
この日は日本代表もW杯予選を闘う。
韓国や北朝鮮の選手みたいな心配をしなくていい、恵まれた数少ない立場なのだ。
ここに立てない全ての人の分を背負って闘え!
下手な試合したら承知しねえからな!
あ、4年前のアジアカップで玉田が点を入れたの、バーレーン戦だったよな……?

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