ドラマ「メッセ−ジ」の中の
CMディレクタ−の遺言
毎日放送(大阪)の開局55周年記念ドラマとして制作され、「テレビCMの日」の8月28日に放送された「メッセ−ジ」は、一世を風靡した伝説のCMディレクタ−を、弟でカメラマンの伝命(藤竜也)の回想を中心に描いた作品である。
ドラマは、現在CM制作会社の女性AD(内山理名)が尊敬するカメラマン・伝命に仕事を頼んだことから弟によるの兄の回想が始まり、CM制作をめぐって「現在」「過去」が交錯する。
伝説の人杉山登志(藤木直人)は、60年代、70年代にサンオイルや口紅などのCMの秀作を次々と創りだし注目されたが、1973年37歳の若さで自殺する。そのときに遺したことばは次のようなものであった。
リッチでないのに リッチな世界などわかりません
ハッピ−でないのに ハッピ−な世界などえがけません
「夢」がないのに 「夢」を売ることなどはとても
嘘をついてもばれるものです
ドラマの制作者たちは、杉山が命を賭して綴ったこのことばを、モノを作らずただ金の亡者に成り果てている今の時代への「メッセ−ジ」としてとらえている。
それにしても1970年代初頭に、消費社会を推進する先端に位置した人の死を以って綴ったことばとしての意味は重く、彼の内面は深淵である。
そこからはほんとうに遠くへ来てしまったものだ。その間隙を埋めるのが現代の作家の仕事の大きなひとつかも知れない。
日々のCMも新鮮に見える。